FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス5~

スキルアップ ディフェンス 動画 片岡 秀一

日本代表女子チームの大躍進の中、準決勝のフランス、決勝のアメリカ戦で話題になったのがピック&ロールを仕掛けた際にスイッチされた際の攻防ではないでしょうか。

準決勝では、日本代表のPG陣のドライブが有効に機能。自らのシュートに加え、周りの選手のヘルプを迫り、アウトサイド陣をノーマークにすることに成功。
町田選手のアシスト記録にも繋がりました。

逆に、決勝戦ではブリトニー・グリナー選手のディフェンスに苦戦。
周りの選手も自分のマークマンを優先し、ヘルプに寄ってくれません。
中盤以降、日本代表もオフェンスも攻め手を変更し活路を見出しますが、日本の特徴を打ち消す素晴らしいディフェンスでした。

ブリトニー・グリナー選手のブロック集

今回も、イタリア対セルビア戦のピック&ロールをスイッチで守った際の攻防に着目してみます。
イタリア代表の屈強なフィジカルとアウトサイドも守るインサイド陣のディフェンス力が好場面です。
また、セルビア代表チームの非常にきれいなオフェンス戦術の紹介にもなれば幸いです。

1、プレーの流れ

ヘルプディフェンス1 ヘルプディフェンス2 ヘルプディフェンス3 ヘルプディフェンス4

2、流れ

Zipper(トップ方向で駆け上がる動き)より、アウトサイドの選手がトップでボールを受けます。
同時に反対サイドでは、トップのボールマンにスクリーンに向かう選手のディフェンスに対し、3番の選手がスクリーンをセット。
トップへ向かう動きを助けています。

トップへパスの後、各選手が綺麗に指定の場所へ移動します。
ピック&ロールの場合、周りの3選手のスペーシングが非常に重要です。

トップのスクリーンでは、X2はスクリナーの下側を通過します。
ここでも一時的にX5がドリブラーをケア。
前回の記事と同様、猛然とダッシュをしボールマンに食らいつきます。
スクリナー(5)がPOPするエリアはX1がスペースを消しています。

その後5番にボールを戻し、次は3番の選手とのハンドオフを狙います。
ここでイタリア代表チームはスイッチを選択。
インサイドの選手vsアウトサイド選手の攻防へと移行します。

同時に、周りのディフェンスもやや自分のディフェンスポジションを変更します。
自分のマークマンを視野に収めつつ、ややスピードのミスマッチをヘルプできるよう、身体の向きやポジションを変更します。
3の選手がドライブを試みますが、まずX5がしっかりと守り相手を苦しませます。
同時に、X4がしっかりとディフェンスのポジションを取っている場面で突進する形になり、ターンオーバーを誘発させることに成功しました。

3、まとめ

ドライブに対するディフェンス戦術として、2線や3線の位置について様々なディフェンス戦術が存在しています。
しかし、どのような戦術を採択した場合は、重要になるのはボールマンディフェンスの能力が無ければ成立しないのではないでしょうか。
ドライブを恐れて下がれば、3Pシュートの脅威が待っています。
ミドルライン側またはベースライン側のヘルプを各チームで重点的に用意したとしても、目の前のDFがアッサリと抜かれてしまっては、圧倒的にオフェンスが優位な状況が作り出されてしまいます。

また、インサイドの選手がアウトサイドの選手を守れるように訓練されているからこそ、この場面でも相手のドライブを阻止することが出来ました。

このような場面でブロッキングやハッキングをコールされることも非常に多いのではないでしょうか。
X4のようなケースについて、以前トーステン・ロイブルコーチは下記の表現でヘルプの妥当性を表現されていました。
コンタクトの発生有無と同時に、『ディフェンスが正しいポジション、正しいタイミング、正しい姿勢だったか否か』を指標として持つことが重要です。

関連記事1:FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス1~

関連記事2:FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス2~

関連記事3:FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス3~

関連記事4:FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス4~

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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