FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス3~

スキルアップ ディフェンス 動画 戦術 片岡 秀一

今回のテーマは「ピック&ロール時のボールマンディフェンスの足さばき」です。

女子代表チームの「顔」ともなった町田瑠唯選手は、東京五輪で日本代表のオフェンスを牽引し、オリンピックのアシスト記録を樹立しました。

素晴らしいアシストは彼女の持ち味ですが、同時にディフェンスでも非常に重要な役割を担っていたと感じます。

前線からのボールマンプレッシャーは勿論ながら、ハーフコートでも見事でした。

特に、相手チームがピック&ロールを仕掛けようと試みる際に、華麗な身のこなしと予測でスクリーンを交わし、ドリブラーの侵入を防いでいた姿が印象的でした。

ピック&ロールでスクリナーに当たらずに交わしてボールマンの侵入を防ぐという事は、ピック&ロールによるヘルプディフェンスやローテーションで対応をしなくて良いことを意味します。

ハイライトシーン等で取り上げられることは少ないと思いますが、町田瑠唯選手の隠れた好プレーだったと確信しています。

特にベルギー戦・フランス戦で、その動きは顕著であると思います。

今回は、イタリア代表の#54アレッサンドロ・パジョラの事例を活用し、ボールマンディフェンスの動きに着目してみます。

  • スクリナーディフェンスの連動性
  • ボールマンディフェンスの足さばきと身のこなし

など、見事なプレーが続きます。

1、プレーの構図

2、流れ

①セルビア代表チームが、サイドの位置でピック&ロールを仕掛けます。ここでイタリア代表チームの連動に注目してみます。
#54アレッサンドロ・パジョラ選手は、スクリーンに当たらないように、一度、足をスクリナーの外側に出し、そこから追走します。

②ボールマンがドライブを試みる場面では、スクリナーのディフェンスがボールとリングを結ぶラインをケアします。もちろん自分のマークマンであるスクリナーへのケアも忘れません。
また、コーナーのディフェンスをしていたX2もポジションを変更してスクリナーへのパスをケアできる位置にいます。

③スクリナーを交わした#54アレッサンドロ・パジョラ選手は猛然とダッシュをし、ボールマンに食らいつきます。
結局、ペイントエリアにほんの少しだけ入ったエリアでボールマンを捉えることに成功しました。インサイドの選手も自分のマークに戻ります。

④その後、1は3にパスをします。
ここでも、1はキャッチのタイミングの隙を狙ってドライブを試みますが、ディフェンスがドライブを封じ、ペイントエリアに侵入させません。
最終的にインサイドの勝負となりますが、マークマンが変わらずインサイド対インサイドです。
セルビアのインサイドは非常に長身の選手ですが、オフェンスチャージングを誘発してイタリアボールとなりました。

3、まとめ

回のプレーで特筆すべきは、スクリーンにHitしないアングルを選んだ後の、本気のスプリントにあると感じます。
言ってしまえば、ドロップをしてカバーをしてくれているセンターがいる為、8割程度のダッシュだとしても、ある程度ディフェンスは成立します。
インサイドとの攻防の駆け引きで遅れたり、判断を誤ればターンオーバーをしてくれるケースもあり得ました。

しかし、#54アレッサンドロ・パジョラ選手は、自分がボールマンに1秒でも早く間に合えば間に合うほどに、セルビア代表チームのオフェンスチャンスが減ることを自覚されているように分析できます。
そうでないと、ある程度リングまでの距離がある1回目のピック&ロールに対して、ここまでのスプリントをすることが難しいのではないでしょうか。

もう一つは、各ディフェンス戦術について、チームが明確な基準を設けている事です。
ボックススコアには出てこない領域ですが、チームとして求めることを明確にし、かつ徹底していることが伺えるシーンでした。

関連記事1:FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス1~

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この記事を書いた人:片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)