ノリをつくるにはルーティンがある(後編)【梅原トレーナーのからだづくり哲学】

スキルアップ トレーニング マインド(脳) メンタル(心) 梅原 淳 練習法

前回の続きです。

あらすじは省きますので、読まれていない方は前編から続けてご覧ください。

ノリをつくるにはルーティンがある(前編)

新入生は普段どおり練習の準備をしていました。とても礼儀正しく生活習慣が整った生徒たちで、真面目におこなっていて、キャプテンからも予め時間の指示をもらっていたようです。

そこで私は準備が整うのをずっと待っていました。しかしいつまでも練習が始まらないので「何時から?」と聴いたところから、頭の「置いてけ堀」に突入します。

どうやら練習開始時刻はずっと先のようで、そのすき間を準備しつつ半分潰しているようでした。

それだったら勿体ないからすぐ始めよう、と言った時点でもうその日の練習は固定されました。

もちろん、体が動かないほうへ固定です。

失敗ではなく好機

選手らの頭には、その時間から練習するつもりが一切無かったので、ウォームアップはウォームアップになりません。なにをしても体はエナジーを帯びていかず、そこに運動内容や掛ける時間は意味をなしません。

なにをどうやったところで体は漲らず(みなぎらず)、息が上がり苦しくなるばかりです。

考えていた頭(予定)と違う運びになると、その変更に対応できなくて、まったく別人のような選手に様変わりします。いわゆる「心の準備」が整わないというやつです。

これが実際に起こります。誰の身にも起こります。体の仕組みですから。

それなら調子を崩さないようにいつもの感じですれば良い、とはなりません。

時間をムダにするより大切にしてチャンスを活かす人になったほうが幸せですから、この経験を新しいルーティンをつくるきっかけにします。

だから今日は絶対にグズグズにしかならないのは目に見えても、頭の「置いてけ堀」を経験する意義は深いのです。

ちょっとした変化が脳を鈍らせる

動きが冴えない要素として、曜日や時間の違いがありました。いつも通りならば、選手らは強烈なレッスンでもちゃんと待ち構えていたはずです。

また授業の終わる時間が異なるために、新入生だけの練習開始だったこともイレギュラーですから、完全に油断していたことでしょう。

いや、油断ではなく彼らは普段どおりに動いていたのです。体に馴染んでいるとおりに。

このいつもと違う環境は、新入生だけに留まらず7限目の授業が終わって駆けつけた2,3年生も同じでした。

練習に遅れて入ったり、平日の放課後にトレーニングすることは経験がないので、不思議な違和感が出ます。それがとてもわかりやすく伝わってきました。

元気と勢いに満ちた県内でも指折りのタフなチームですが、それと正反対の様子で声はショボショボとし、走りも鈍く重くなっています。

雰囲気がいつもとまったく異なり、パフォーマンスも悪く段取りもあやふやで、エナジーと集中力が完全に消えていました。

こうなってしまった理由は唯一つ、脳から指令が出ていないからに他ならないのです。

必ず盛り上がるルーティン

たったそれだけのことで?と思うかもしれませんが、人間はわずかな違いで大きく上下するものです。

半分、この機会を使って計画的に「脳の出遅れ」を演出したのですが、もうひとつ演技でドカンと頭のてっぺんから火山を噴火させて、3年生から1年生まで全員一緒に普段の入りから仕切り直してもらいました。

それでもはじめは尾を引いて調子が出ません。そういう場合は、体育館に入るところからスタートさせます。なんでもはじめが肝心なのです。

ウォームアップの開始や円陣を組むところがはじめではなく、授業が終わり体育館へ足を入れるところが部活への意識がはじまる瞬間です。

そうやっていくと不思議なことが起こりました。先ほどとは打って変わって声が響き渡り、動きは力強く、テキパキと練習を進めていきました。

とても盛り上がっています。段取りよく、ムダな間は一切ありません。傍から見ていて、お世辞ではなく素直に「鍛えられているチームだ」と感心しました。

でもこれがいつもの選手たちです。

ルーティンを味方につけよう

さて、ここまでの話でルーティンがいかにスポーツパフォーマンスに影響しているか、その大事さを感じてもらえたのではないでしょうか。

たったひとつの例ですが、このようなことは生活の中でたくさん起こっていると理解できると思いますし、同様の経験をされた方もきっと多いはずです。つい昨日も・・・なんてことだってあるかもしれません。

それくらいルーティンは日常であり、であるならば良い方向へ伸びることを意図的におこなっていけば、成果はより大きなものになるに違いありません。

スポーツの場面でも、頭が遅れを取ると体は絶対に動かず、しかもそれが最後まで続きます。抜け出せない不調とは、ルーティンに入れないことなのかもしれません。

もしその可能性が少しでも考え得るならば、やはり普段からプラスに向く心掛けをすることが、成功への道と言えそうです。

規則とかそういうものではなく、自覚的な行動の有りようによってわずかなチャンスでも確実に掴めることもあれば、容易なチャレンジすら逃すこともあるということです。

ぜひ良いルーティンをご自分でつくられてください。気を向けていない場面は意外とたくさんありますから、無自覚に流してしまっている行動に目を向けて、アプローチしてみることです。

普段からの心掛けが良いルーティンをつくります。

(了)

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この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。