日本人は国内リーグでも活躍できないのか?(下)【梅原トレーナーのからだづくり哲学】

スキルアップ 梅原 淳

日本のビッグマンが育たないひとつの原因を、批判を覚悟の上で客観的に申し上げてきた。

日本のビッグマンは、貴重だが掻き集めれば充分な数をじつは揃えられるし、彼らが世界で活躍しまた日本代表を強豪国へと押し上げる可能性と才能は、すでにしてあると断言できる。

しかし成功しているビッグマンは、八村塁選手や渡邊雄太選手をはじめとして海外へ出た選手たち、Bリーグでプレイする日本最高峰のアスリートたちのなかでもわずかしかいない。

それが本レポートの(上)で記したBリーグにおける今シーズンのスコアランキングに、はっきりと示されている。

世界で通用する日本のバスケットボールに育て上げるために、JBAは多くの苦難を乗り越えて今がある。

まずは日本代表を強くして、そこから国内リーグもレベルを上げていくと、当時のチェアマンはバスケットボール学会の講演で明示された。

ならば代表に招集する選手だけを大事にしてもダメだ。未来を担うビッグマンを探し出す育成事業でも、狙ったとおりにはうまくいかない。

なぜなら育成の本当の姿は「選抜」に他ならないからである。

 

ピックアップした選手を、公費を掛けていったいどれほど鍛えているのか。日本代表という立ち位置から、普段はチームで活動する選手たちを強権で管理できるものではない。

つまり大学生にしろBリーグ選手にしろ、選手の母体は所属チームであり、そこでの日々がスポーツライフの基盤である事実を考えれば、本当の育成はそこで行う以外にない。

その母体であるチームと周囲の人間らが、暗黙の了解もしくは無意識にビッグマンを特別視し、ときには怠けてもよし努力しなくてもよしが成立する環境すら珍しくはない。

さらに言えば、日本のトップをいく選手らだけの話ではなくて、どこの部活動にもいる少し大きな選手でも、大抵が周囲と比べて運動下手で体力も足りず、また頑張れない。

頑張る気力がない、が正しいかもしれない。

本当に「またか」とため息をつきたくなるほど、毎年4月に新入部員たちと会うと大きめな選手ほどなぜか体力が低くて、練習でも当たり前に手を抜いてしまう。

これらは全国レベルでも県内レベルでも、なにも違わない。

日本全体にビッグマンを腑抜けさせる環境があるうちは、底上げも代表チームの飛躍も難しい。

彼らは確実に特別扱いになっていて、すべての年代でどのチームでも必ず座るイスが用意されている。頑張らなくても主力になれるのである。そこで発奮する人間などいるだろうか。

ビッグマンこそチャンスが大きいのだから人一倍自らを追い込む練習をし、コーチは周囲の選手よりもさらに厳しく鍛えるのが本当だ。

ビッグマンは貴重で大事に包んでしまっておく存在ではなく、荒波に放り投げて頑張れと鼓舞し、その身体的才能をどこまでも伸ばしてあげようと尽力する指導者が増えれば、きっと素晴らしいアスリートがたくさん生まれるだろう。

それは男性も女性も一緒だ。

 

現在のところ、日本代表では女子が一気に世界二位まで駆け上がっていった。男子代表とBリーグには、強い期待を持っている。もちろんあなたも同じだと察する。

ビッグマンは特別ではありません。チームメイトのみんなとなにも変わらず、辛い鍛練を切磋琢磨してもらいたい。

日本の未来へ大きな期待を込めて、レポート致しました。

(了)

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この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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