食べるトレーニングを考えよう!「栄養学的なお米の上手な食べ方-その1」【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
前回と前々回の二回にわたって、「炭水化物が悪者になっている傾向をどう考えるか」というタイトルで、炭水化物にまつわる現代的話題に触れました。
「炭水化物が悪者になっている傾向をどう考えるか(前編)」 「炭水化物が悪者になっている傾向をどう考えるか(後編)」
大人と子ども、競技レベル、また競技の特性、もっと大きくは生活環境によってエネルギー源がどのくらい必要かは異なり、その主となる炭水化物の必要量はあなた自身で適度にコントロールすることが重要です。
一概にこれを摂ると病気のリスクが上がるとか太るといった偏向意見は、たとえ研究データがそれを示していても万人万事に当てはまる内容ではない、という結論を申し上げました。
その際に何度か「米」というワードを出しました。日本人にとって食文化が大きく変化してもなお、米は主食です。
ご飯のお供という言葉があるくらい、日本では肉などのおかずよりも穀物が食事の真ん中ですね。
私はこのレポートを保護者の方々や子どもたちに読んでもらって、お米をもっと意欲的にたくさん食べてもらいたいと、素直にそう考えています。
そこで今回は、前回までの話に追記するかたちで、お米の上手な食べ方をご紹介しようと思います。
過ぎれば必ず悪影響が
メイン記事である前編と後編では、白米が危険視されていることを少しだけ記しました。
それは精白された穀物を食べるとたとえば血糖値が急激に上がり、それを下げるためにインスリンが分泌されて今度は低血糖を起こす、その上下動が体内で急激に行われる、というものです。
精白というのは、穀物本来の種一粒を外側から削っていって、中心にある胚乳というデンプンを主とした部分だけにすることです。ちなみにデンプンは多糖類に入ります。
血液の中に単独の成分が一度にドッと入ることは、糖に限らず体へ強い負担を掛けるのです。簡単に言えばバランスを崩して偏るということです。
甘い物、しょっぱい物、辛い物、冷たい物、水分量の多い物、たんぱくの多い物、どんなものでも取り過ぎればなにかしら悪い症状が顕れますよね。
栄養成分を偏った状態で体へ入れた場合に、血液とそこから運ばれる各臓器に強い負担が掛かると医学では言っているのです。
だったらこうしよう
遙か昔、私たちのご先祖さまは今のような現代ほどに精白された米を食べていませんでした。外側に茶色い皮や、芽の生える胚芽もそのまま残して炊いていたそうです。
実の中心まで削ぎ落とす習慣および技術が無かった、ということでしょう。
真っ白できれいな白米を主として食べるようになってから、日本人の病気は一気に増えたと言われます。これがいま説明している白米の危険性の話です。麦なども同じことです。
一物全体という言葉があり、本来はなにも削らず皮ごと食べることで安定した消化、そして安定した栄養摂取を得られます。それが現代は味だけを追求するために、大きく偏っているというのです。
それでも日本には、百年以上は白米を食べてきた文化があります。まずエネルギー源として米をしっかり食べられているのなら、精白米でも構わないと個人的には思います。
ただ、せっかく炭水化物の話をしてさらに米についても触れましたので、体へ負担を掛けない優しい食べ方をご紹介したいと思います。
それはまず「分づき米」です。
糖だけじゃない米の豊富な栄養
江戸時代、米将軍のあたりから武士階級をはじめ、都市部ではときおり庶民の食卓でも白米が食べられるようになったようです。地方ではまだ玄米に近い分づき米に、ひえやあわなど雑穀を混ぜて食べていました。
都市から離れた農村部に至るまで白米が食卓に並ぶようになったのは、明治に入ってからです。
その理由には、そもそも米は税で納めるものであったから自らは食べることが少なかったこと、さらに精米するのは重労働つまり技術が無かったので、多くの国民は玄米に近い状態で食べていたこと、のふたつがあります。
いまあえて歴史に触れたのは、私たち日本人全般が現在の白米のかたちで食事をするようになったのはまだ時代が浅く、大和朝廷の誕生以後ほとんどの時代では玄米に近い分づき米を食べていた背景を知ってもらうためです。
明治以前の先人たちが食べていたのは、糠に包まれた茶色いお米でした。さらに時代を遡るほど、米は充分に食べられないので麦やひえなど雑穀の比率が高くなります。
これは栄養バランスとしてなにを意味するかというと、きれいに精白されてほとんどが「糖」である現代食と違い、たんぱく質やビタミンなども一緒に摂取する食べ方でした。
さらにその消化にはゆっくりとした時間が必要ですので、体への負担も少ないものです。
どうでしょうか。国の歴史全体では本当は分づき米が主流であったこと、そこから学んでいまの生活に取り入れてみませんか。
(つづきは次号へ)
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