食べるトレーニングを考えよう!「炭水化物が悪者になっている傾向をどう考えるか(後編)」

スキルアップ トレーニング 梅原 淳 育成法 食トレ

前号の続きになります。

食べるトレーニングを考えよう!「炭水化物が悪者になっている傾向をどう考えるか(前編)」

さて炭水化物を摂ることを悪とする論調は、果たしてどこまで膨らむのでしょうか。

お米や麺類などを食べることが、元気に遊び回る子どもの健全な心身の成長を阻害し、スポーツ技術と競技成績の向上にもマイナスであるのなら、直ちにやめさせなくてはなりません。

現実的にそれに端を発する問題がどこで起きているのでしょう。

年々下がる子どもの体力測定値低下は、これが原因なのか。さらに免疫力低下も深刻な社会問題と言えますが、お米中心の生活がそれを引き起こしているのですか?

これは病理学レベルにおける糖分の悪影響と、スポーツでの食事がごっちゃになっているひとつの例と言えます。

一事で万事を語るべからず

物事はひとつの側面があったときに、それだから同時に別の面は否定されるという傾向があります。私たちはその思考が強いと自覚するべきです。

以前に書いた「タッパ飯」のレポートもそれと同じであり、世の中にうっすら広まるコレが良いアレが悪いというものは、ほとんどが一方の側だけの偏った見解です。

この炭水化物の話は主にGI値がその元となっていますが、事実を申し上げればGI値にまつわる病気のリスクと、炭水化物を摂らないアスリート飯は繋がるものではありません。

それなのに米やパンをたくさん食べることは間違った行為であると、科学の根拠を後ろ盾にして否定してしまうのです。これこそが世間に浸透していくミスリードです。

一日中せわしなく動き回る人たち

メジャーリーガーの大谷翔平選手は炭水化物を少なくしているそうですが、彼と背が伸びている盛りの野球少年(小学生)の一日のエネルギー消費量は異なります。

たえず運動したくてウズウズしている成長記の子どもは、学校にいるときも休み時間に廊下や教室で動き回るし、登下校は歩くし、毎日友達と公園や校庭で元気いっぱいに遊んでいます。

動きたくて仕方のない年頃ですから、おしゃべりもしたくて仕方のない年頃ですから、もう全身の細胞が熱を帯びて体力を全開で使っているのです。

大人から見て、子どもたちは「疲れ知らず」ですよね?ご自身の幼き頃を思い返せば、きっと同じだったはずです。

少年少女たちは底なしの元気で、毎日とてつもない体力を使っています。就学前の園児たちともなれば、その活動量はもっと上がります(もちろん歳なりの消費量です、一緒に並べて絶対値で言っているのではありません)。

世界最高峰のパフォーマンスを誇る大谷選手であっても、職業である野球も含め生活全体の運動量(すなわち総エネルギー消費量)が比例して驚くほど高い、ということではありません。

3時間のフルマラソンを走る人のほうが、エネルギーの中心となる糖の消費量(使用量)は格段に上です。肉体労働で汗を流す職業の人もそれは高いのであって、つまり糖の摂取がたくさん必要な生活環境と少なくて済む生活環境がある、ということです。

精白米の問題を広げすぎている

もうなにを言いたいのかおわかりいただけたと思います。

コレを食べたらどうなる、という話はある一定の傾向を示しているだけであって、条件や環境によってその通りになる場合と別の結果を生む場合があります。

いま多くの世界的アスリートたちが食を大事にし、食べることにおいてもプロフェッショナルな一面を私たちに見せてくれています。

それを模範として知恵を分けてもらうことは良いことであり、同時に自分で考えて我が身に適した方法を見極める必要があります。これが絶対的に欠けています。

一日の身体的活動量、総運動量の多い子どもは、スポーツの習い事云々を省いても穀物を中心としたバランスの食事で構いません。

日本のお米や味噌汁といった食文化は現代の子どもたちでもマッチするものですので、それをあえて米を減らして肉などのたんぱく質をメインとした食事にすることはベターな選択ではありません。

精白米の問題はたしかにあるものの、それを理由に若年層が炭水化物を摂らないなどというのは、現実を正しく捉えていない危険な解釈です。

ご飯をおかわりしよう

ご飯をおかわり

成長期の子どもはご飯をたくさん食べると思います。日本食の一般的な献立であるならば栄養のバランスはそれで充分ですので、その中で量をたくさん食べてもなんら問題ありません。

味付けの強いものに執着した特異な偏食が人体に悪影響なのであり、育ち盛りの世代がご飯を何杯おかわりしたところで良いも悪いもありません。

エネルギーが必要で体が素直に欲しているのならば、どうぞ気の済むまで食べられてください(ただし肥満児が食べ過ぎるのは意味が違います)。

昨今に見られる炭水化物の悪者説について、アスリートの食事を交えて考えてみました。

最後までお読みいただき有難うございました。

(了)

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