【梅原トレーナーのからだづくり哲学】暑さ対策の間違いを正そう(下)

スキルアップ 梅原 淳

夏のスポーツにおいていったいなにが問題なのか、どんなリスクがあるのかをきちんと考えてみよう。

(参考)暑さ対策の間違いを正そう(上)

(参考)暑さ対策の間違いを正そう(中)

いま外に出れば、その危険性が誰にだってわかる。ヘタをすれば自分たちの体温と同じ外気温となりそうな勢いであり、室内となればさらにその温度が上昇する。

この異常な高温が私たちのスポーツ活動、いや生活にとって危険なのだ。

耐えるにしても限度があり、また個々人の体調が違うから元気で強い人も弱い人もいらっしゃる。たとえ病気ではなくとも、耐性のやや低い人であったら気温上昇でリスクが広がる。

だからそれを回避すべく対処しようということだ。

つまり「これ以上は危険」というラインに達しないよう私たちの活動を制限するか、暑さを和らげるか、あるいはその両方を行うのが「暑さ対策」の正しい目的である。

エアコンリスク

ではこれまで申し上げてきたエアコンの問題とはなにか。

耐えられない暑さをどうにかして緩和するという本題から大きく離れ、どこまでも冷やす、冷やしまくる過剰さに大きな問題があり、新たな危険を生み出している。

夏は暑いものなのに、その「暑い」をすべて排除しようとする度を過ぎた行為が「エアコンの18℃設定」に現れている。

もう一度言うが、夏というのは暑い季節だ。気温30℃はごく当然だし、25〜30℃を夏日と言うが(精確には30℃未満)、それは人体に危険な外気温とまではいかない。

用心して涼を取りつつ生活すれば、普段どおり動いても倒れるようなことは避けられる(当然個々人の体調は考慮した上で)。スポーツ活動においても、同じ事が言える。

さらにその暑さと共存することで少しずつ耐性が強くなっていくことも事実で、むしろその力を上げていくことで自然環境に適応することになるから暑さによる人体へのリスクも下げられるのだ。

エアコンのリスクは、この暑さへの耐性を完全に奪ってしまうところにある。

水を飲んだところで

結局はただ我慢しろ耐えろと言いたいのか?と乱暴に話をまとめるのはご遠慮願いたい。そんなことは一言も申し上げていない。

暑いから「冷房を設置すれば解決」はあまりに短絡的であり、そのあとに起こる新たなリスクを見通すことができずに、まさにいま私たちの日常において直面している現実から目を背けてほしくない。

日夜、冷房による冷やしすぎで、夏という季節にまったく馴染めない体になっている人はいて、それが特別な環境にいる人ではなく大多数である事実をきちんと受け止めるべきだ。

まず確実に学校の生徒達は皆冷え切った環境で毎日、そして何年も過ごすことになり、家に帰っても同じような環境の場合も充分にあるわけだから、夏にスポーツをできるような体力では到底あり得ない。

そこを改善せずして場しのぎ程度に水分補給や休憩をおこなったところで、必ず選手は極度に疲労し、じきにダウンしてしまう。そんな経験を昔もいまも、ずっとしてきている。

暑いことに慣れよう

暑いのなら暑さを凌ぐことが正しい行いだ。決して暑さを排除してはいけない。危険になった部分だけ、エアコンという便利な道具を活用して回避すれば良いのである。

室温が18℃である必要が本当にあるのか?ちょっとの暑さでも感じることは体に害なのか?

暑い季節は、暑い中で生活することを受け止めねばならない。それを拒否することは絶対にできないのであるから、本当の「暑さ対策」はエアコンを設置することではなく、いまの変わりゆく気候に適応できるようにする中で、一時的に処置を施すことにある。

そのなかに、ひとまずは冷房で酷い熱気を下げ、水分補給で脱水を防ぎ、練習時間の短縮や休憩によって熱中症等に用心することなどが有効な手段となる。

いつもエアコンの設定温度が低い人は、冷房を28℃くらいにしてみよう。さらに窓を開けて、換気をしながらそれを使ってみることをお勧めする。

また夏だからといって、食が細り冷たすぎる飲料やアイスなどをたくさん食べたり、風呂やシャワーを毎日冷たくしていたり、必要な程度を越えて体を冷やす行為をしていないか振り返ってもらいたい。

どうしても暑ければ、その「どうしても」だけ取り除けば充分だ。暑さに強い体を育てようそれは練習中ではなくて、あなたの普段でつくられていく。

この夏も、練習の実りがあるよう心から応援しています。

(了)

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この記事を書いた人:梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。