【レビュー2】全て「時間を奪う」事に集約される。
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星澤氏の新作教材『マンツーマンディフェンスバイブル』はDFを中心に密度の濃い理論を提示する作品だ。
本教材を視聴をする事で、日頃のコーチング活動の質向上を目指す上で、主に3つのメリットがあると感じた。
■メリット1
1つは、何といってもDF指導の一通りの流れを知れる事だ。
それだけではなく、DFを頑張る事に意義を見出す、カルチャー構築を、構築する為一連の流れを掴めるはずだ。
それを通じ、自身のコーチンング活動の羅針盤を得られるという事だ。
本教材では『時間を奪う』事が基幹テーマである。
「DFは努力」という信念に基づき、一貫した内容が提示される。
そして、独立して存在する一場面における戦術の説明ではなく、全体像を提示している事が最大の特徴だ。
そして、理論を具現化する為のツールとして各練習ドリルが提示されている事が映像を見る者に与える影響は大きいと考える。
模範演技だけではなく、実際の指導現場を収録している事も大きい。
星澤コーチの着眼点、選手への伝達方法なども感じ取る事が出来る。
頭ごなしに否定するのではなく、理路整然と筋道を立てて説明をする。
すると、選手が納得感と確信をもってプレーしている様子が伺える。
時折に見せるメタファーも非常に分かりやすい。
例えば、各DFポジションにおける説明だけをとっても非常にきめ細かい。
ボールマンにマークをする人間がケアすべき事柄が非常に具体性の高い言葉で示される。
それは、2線(ディネイ)ポジションの選手、3線(Help)ポジションの選手のケアすべき項目も同様だ。
視野や視線の確保だけではなく、見るべきポイントが非常に厳格に言及される。
「少し難しいですが、ヘルプDFはボールマンの眼を見ましょう」と語る場面があるが、そのきめ細かさに驚愕させられた。
「ポジション移動が迫られる瞬間こそチームDFの鍵」であると強調し、最大限の準備を要求。
同時に、予測する為のヒントを提示。
選手にとっては、非常に難解なテーマではあると感じる。
しかし、選手にとっては、解決の糸口と共に提示されるので、挑戦しがいのある内容だ。
上記のようなサイクルで、DFリバウンドにおける着眼点、DFにおけるコミュニケーションなど内容は多岐に渡る中で、各DFスキルにおいて着目すべき視線、足さばきの基礎ドリルも徹底する。
ツールを伝える際にも、必ず主たるコンセプトを見失わないような指導になっている部分も興味深い。
それらのツールは全て「時間を奪う」事に集約される。
選手は、それを実感しながら一つ一つのツールに向き合える。
そのプロセスを視聴者の学びも視聴者にとっては貴重な学習となる。
『時間を奪った』のち、オフェンスチームの放ったシュートが入るか否かは、究極的にはコントロールしきれない。
しかし、これらの教えを遂行する事で、時間を奪う事の確率は高まっていく。
ある程度の母数を参照してシュート率を算出すれば、シュート確率を軽減する事が出来る。
前回の投稿同様に、基準が明確で、定量化できる。
良しあしを図れる事で、仮説、検証、実施のサイクルを回す事が出来る。
再現性があるDFとなるという事だ。これは大きな武器になる。
カルチャーの構築の最たる例は「選手がDF練習をスタートするようになる」という言葉。
これは星澤氏の実体験に基づく内容なのだろう。
本来であれば見過ごされがちな項目に対し、その価値を説き、明確な成長の道筋を提示。
カルチャー、風土を構築する為の足取りを伺う事が出来る。
勿論、視聴者の方にとって本教材が与える発見は様々だ。
明確、かつ、具体的に提示された理論ではあるが、ある人には、それでも難しすぎるかもしれない。
さらには、上の世代を指導されている場合、もっと複雑で、細かな事象を扱うケースもあるかもしれない。
指導するカテゴリーが上になればなるほど、戦術は高度化する為、適応するケースや、得られるメリットは様々になる為だ。
それでも、信念に基づき、長年の経験を集約した結晶である本DF教材は、新しい閃きを提示すると信じてやまない。
2つ目は、オフェンスをする際の基準を構築できる。
世の中には、様々なフォーメーションや、セットプレーがある。
そして、それらは映像や動画で簡単に確認する事が出来る。
反面、それらを的確に教える事はコーチにとって困難な事柄の1つである。
各プレーにはオプションがあり、局面で正しい判断が必要。
そして、スキルについても正しく用いる必要がある。頭を悩ませている事であろう。
その中で、「時間を奪う」という概念を持つDFの意識の持ち方の基準を知れる事はオフェンス側の視点を持てることを意味する。
オフェンスの視点に立てば、「いかに時間失わずに」・「確実に、より良いシュートチェンスへとボールを繋げる」事が重要だ。
そこが勝負を分かつポイントだ。
やむくもに指導するだけでは到達できない駆け引き、深淵に到達できるのではないか。
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