【梅原トレーナーのからだづくり哲学】ミニバスでサイド・ステップを伸ばすことは可能か?(後編)
スキルアップ トレーニング フィジカル(身体) 指導法 梅原 淳 練習法
ミニバスコーチのペンネーム山さんから質問をいただき、サイド・ステップについて新たな視点でレポートを書いています。
前回は、特定の動作への拘りをやめて、運動全体で動く足をつくることを提案しました。→ミニバスでサイド・ステップを伸ばすことは可能か?(前編)
ひとつの動作を特別な技術と決めつけてしまうと、思考がそこから抜け出せなくなってすぐ近くにあるはずのヒントすら気づけない狭い視野になってしまう懸念があります。
山さんが私の出したレポートを読んでくれて、そこに「上げる足」と「リズム」について書いてあったのも、よく考えればそれらはサイド・ステップに限った内容ではありませんよね。
しっかりと床を蹴るためには上げ足の感覚は必要だし、力を入れたり抜いたりをするリズム感も運動全体に通ずる話です。
身軽に動くための基本
足が動くことは「股関節が動く」ことと言い換えられます。それは踏む動作と上げる動作に分かれ、踏むためにはまず上げることが必要ですので、一番に上げる力をつけましょうと申し上げています。
もうひとつ、動きを身軽にするためのワードを言うならば、できるだけ「踏ん張ってはいけない」ということも重要です。
でも通常の教えだと、力を入れるために踏ん張ることが必要とされます。そして大抵は足(foot)で床を強く踏みしめることを、踏ん張ると言いますね。
これが足を重くします。
実際は踏ん張ることが無ければ床を蹴るなどの出力を得ることができませんから、踏ん張らない人はいません。
ただし足で床を強く押さえる行為は足を上げることを妨げますから、これは意思とは反対に動かない足を作ってしまいます。
身軽に足を動かすためには、踏みしめる足をやめてフワッと乗せる足にすることです。踏ん張るのは床ではなくて、自分の足の付け根。そうつまり股関節です。
本当は、腰を落として股関節周りに力を込めることを「踏ん張る」と言います。腰を踏ん張って、足は床へ置くだけ。これが力みのない身軽な構えです。
ステップを踏む際に、足もスッと上がります。
一事が万事
サイド・ステップの練習だけじゃなく、他の練習でも床を強く踏みしめるような力の入れ方になっていないでしょうか。
膝を曲げて太ももやふくらはぎに力が入り、脚全体がガチガチに強ばったポジションでプレイをしている選手は少なくありません。
これではサイド・ステップはもとより、ドライブやリバウンドなどの際も鈍い動きになってしまいます。
身体を軽くするためには、床を踏みしめないことです。膝から足首にかけて筋肉が頑張りすぎている人は、それをやめなくてはいけません。ステップの重い原因はその力みにあります。
それはサイド・ステップだけのことではなくて、すべてのステップが同じ状態であることを意味しますから、軽やかなステップのコツを覚えると身のこなし全体がガラッと変わるでしょう。
床を強く叩くのは失敗
最後にもうひとつ。リズムは絶対に覚えるべきものですが、それも身軽さに直結するものであり、リズムの刻み方は踏み足ではなく上げ足で行うようにしましょう。
一般的にリズムは踏むほうで意識すると思います。それを反対の上げる足でリズムを取るように変えます。もうこれだけで身軽さに通ずることがお分かりいただけると思います。
もっと言うと、足でバン!と床を叩くことでリズムを取るのをやめましょう。止まる際や着地の際、腰を落とすときに足音を出すのをやめて、股関節で吸収するようにストン!と軽くしゃがみます。
つまり股関節の踏ん張りで力の抜き差しをします。これは言葉で聴くほど難しい技術ではありません。股関節の一瞬の脱力は誰にでも簡単にできます。
なぜ自分で服をつかんでいるのか
前号も含め、これらはみんなサイド・ステップから離れて見えてくる着眼点です。バスケットボールのどんな場面、どんな動作の場合にも言える要素だと思いませんか。
運動は全体で捉えることで個別技術の仕組みも理解することができ、だからこそ技量を上げることにも繋がります。
あの選手のサイド・ステップの足がなぜ重いか?少し見当はついたでしょうか。もしかして・・・と思うことがあれば、積極的に範囲を広げてアプローチしてみましょう。
最後に、本テーマの冒頭で出てきた「自分で服を掴んでいる理由」ですが、あれはディフェンスの際に相手の身体に触れないようにするための構えです。
ただ、サイド・ステップの練習ですので意識がどうしても下へ向きます。脳の視界が狭くなるわけですね。それを避けるために手のポーズをつけて腕も意識することで、脳に「全身でパフォーマンスを行う」というプログラムをつくっています。
身体は全部が影響し合っていますから、腕を忘れることで足の動きも悪くなることが実際にあります。これも運動を広く捉える一環と言うことです。
質問を出して情報を得よう!
さて今回も、質問者の山さんをはじめ、読者の皆さまへも貴重なテーマを共有できました。とても素晴らしい質問有難うございました。
これからもあなたからの積極的な質問をお待ちしています。日頃悩んでいること、苦労していることがきっとあると思います。
みんなで一緒にヒントを探していきましょう。楽しみにしています。
それでは今回はここまで!
(了)
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