【梅原トレーナーのからだづくり哲学】トレーニングレポート No.50
オフェンス スキルアップ トレーニング ドリブル 指導法 梅原 淳 練習法
※お知らせ
こちらの記事は、新型コロナウイルス感染が広がる前に執筆した記事となります。
石川県の高校チームにて、ドライブスピードを上げる練習をしました。様々なチームにてこの練習をしていると、見事に共通した特徴があります。それはただ走るだけの場合と、ドリブルを入れたときの走り方が大きく異なるということです。
ドリブルが入るんだから当たり前だろうと思う方もいるでしょうが、これは技術的なボール・ハンドリングをするという意味ではなくて、単純に前へ走るという動作に規則的なドリブルが入るだけの動きについて申し上げています。
いわゆるダッシュにドリブルが付くというだけであり、それならば誰でもできると思ってしまうのですが、これが意外と不得意な選手をたくさん見ています。
だからこそ体力トレーニングの部分で動きづくりを行う価値が生まれます。
本レポートでは私が現場に赴いて実際に鍛練をおこなった内容、および選手の様子をお伝えすることを目的の一つとしています。言葉伝いでありますが生の情報を、私の責任と判断のもと可能な範囲において公開しています。
ここに書くことは私の持論、理論ではありません。現実的に起こっている状況として事実をありのまま文字にすることを自分なりの原則としています。
理論や方法論を集約させてまとめ「この物事の結論はこうである」という確定を、ここでは一切致しません。
目の前にある問題を受けて、このような試みをしている、このような成果が実際に見られたという他者の実体験を、どうぞご自身の材料にしていただければと思います。
理論のまとめは致しませんが、事例として公開していますので、あとは活用してください。
さて話をドライブに戻しましょう。
ドライブについてはポイントとなる要素が二つあります。細かく見ればいくつも出てくるのですが、より影響が大きいものとしてはこの二つです。
ドライブスピード①「一歩目の動き出し」
あなたは「よーいドン!」のところ、一歩目の飛び出し方をどのような動作でおこなっていますか?
私が見てきた選手たちの動きは、①頭から前のめりに動き出すか、②床を蹴ろうとする動き、このどちらかが主です。
このどちらも良い動きにはなりません。つまりそのあとのダッシュが散々な走りであるということです。つまずきそうになったりドタバタと重い脚になったりと、かえってパフォーマンス発揮を遮っているような様子です。
スタートの體の動かし方というのはダッシュ力において一つのカギになっていますので、ぜひ鍛練を積まれてください。
でもいつもどおり、私の話すことは難しくありません。誰にでもできます。
今回、このような練習をしてみました。
軽くポンポンとその場でジャンプします。緩い縄跳びをしているくらいの動きをして、あるタイミングで突然走り出してみましょう。
当然、空中にいる時に走り出せるはずはありませんから、着地のタイミングで前へ出ることになります。その際にどのような動きで飛び出すでしょうか。
たぶん上記①②のどちらか、もしくは両方の動きになってしまう人が多いと思います。
これを起こさずに飛び出すには體をどのように使えば良いか?
私のトレーニングでおこなっているのは、着地と同時に片方の脚を素早く上げる訓練です。いわゆる腿上げですね。
両脚でポンポンと跳ねてください。ご自身のタイミングで着地の瞬間にどちらかの脚をクイックで上げてみましょう。股関節を引き上げるようにします。片方だけです。
言葉を体現することは難しいものですが、それでも上手くできないとすればこれがスタートダッシュで重くなる一因と考えてください。走り出しの腿上げを磨くことで、あなたの走りは大きく変わります。
ただ脚を上げるだけでなく、一歩前へ飛び出してみましょう。後ろ脚を伸ばし、前脚を上げ、腕を前後に大きく振ってください。その全体動作の中で、とくに腿上げの感覚が必要になります。
しかしおそらく一歩前へ出ようとすれば、腿上げよりも頭を前のめりに崩す動きが強調されると思います。前へ出ようとする意思が、どうしても脚に先んじて上半身から動かしてしまうのです。
これを我慢して脚の動作を先行させる訓練をします。
動作全体では一歩前へ飛び出す動きをしますが、これの主動は脚でおこないます。床への着地と同時に、上体を前へ出すのではなく腿上げを最初の動作としておこなえれば、強い初速を生むことができます。
左右の脚で比べるとより感覚が掴めるでしょう。必ず上手くできる側とできない側があります。その差を実際に感じることでも、自身の学びに繋がるはずです。
これはある意味で我慢の練習です。急いで前へ出たくなるのですが、抑制して脚の動作をしっかりとおこなうボディ・コントロールが必要です。
この石川県の選手たちも、縛られた自分の動きに四苦八苦していました。頭では解っているつもりでも體が言うことをきかないという人もいれば、自分では正しく動いているつもりでいてどう間違っているのかさっぱり解らない、そういう人もいました。
これは體への感受性が弱いということを物語っています。技量というものはすべて體を使う感覚、コントロールする力ですので、こういった訓練を練習の中心にしていく必要があります。
次回はドライブスピードの2つめをお話したいと思います。
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