【梅原トレーナーのからだづくり哲学】にわかメンタル(上)

スキルアップ トレーニング メンタル(心) 梅原 淳

体系的に確立されたメンタルトレーニングは、身につけるとスポーツさらに人生の助けになる。

困難にぶつかったとき、自分を支え乗り越えるヒントを提示してくれるからだ。

悩みがあってもそのメカニズムを知ることで少し楽になれることがあるし、わずかにでも心にスペースができれば、自分を追い詰めてしまう前にどうにか対処する勇気を持てる。

一方で、メンタルトレーニングは机上の空論でもある。

それは扱い方を間違えてしまうからだ。

いやもっと精確に申し上げると、私たちが教授されたことを正しく受け取ることができずに「誤った理解を得てしまうから」かもしれない。

いずれにしても世間では、悲しくも後者のほうが圧倒的に浸透している。

精神面の話と現実

私たちが憧れる一流のアスリートたちは、普段どれだけ自分を追い込んでいるのだろうか。

きっと凡人には耐えがたい、いや絶対に耐えられないほどのハードな鍛練を自ら選択しているに違いない。

それだからこそ、誰にも真似できない特異な能力を発揮している。

そのような成功者を見て裏付けを知った上でなお、メンタルを机上の空論で語る人たちがいる。

苦しいことをしてはいけない、楽しい心の状態をつくらないといけない、だとすればノリノリとアゲアゲがメンタル・トレーニングの真髄か。

それは大きく本質を逸脱している。思いきり的を外している方法論が、なぜかポピュラーになっていくのが世の中というものだ。

メンタル・トレーニングを難しくしない

スポーツの本当の姿は過酷そのものだ。

物事を向上させる困難さを、現場にいる人は皆よく解っている。自分自身が肌身で実感しているからだ。

スポーツのフィールドに立つ者が本当に欲しいメンタルは、どんな大波にも呑まれない強靱さである

この目の前に置かれた試練への苦しさ辛さを見事、克服する勇気であり、いっそやめてしまいたい、放り出したい弱い心を乗り越える力を求めている。

それをできた人が、私たちが憧れているその世界の一流の人たちなのである。

だからメンタル・トレーニングの真理はいたってシンプルで、困難を乗り越え壁を打ち破るエナジーをどうやってつくるか、その心の強さの鍛練のことを言っている。

では、それを鍛えるのは誰なのか?

もちろん本人しかいない。

シンプルな心の本質

本人にしかできないことを、算数や国語の授業のように他人が教えてできるようにさせるという手段を取ってしまうために、いまのポピュラーなメンタルトレーニングはただのご機嫌取りの方法になってしまっている面がある。

私たちのたったいまのスポーツにおいては、選手が苦しい思いをすればそれは悪いことだとコーチが咎められ、同時に低い山や壁でもすぐに気が折れてしょげる選手も多い。

とりわけ、子どもの関わる学校の部活動やクラブ等では、それが顕著だ。

とにかく選手がネガティブな心の感覚を持つことは、練習法やコーチングに問題があるとされて、悪いことであり排除すべき対象とされているのが現代の風潮である。

しかし繰り返すが、物事を成功させるためにトップ選手たちはどれほどの地獄を乗り越えてきているか。楽して理屈だけこねて科学的なエビデンスがどうのと言って、効率よく手に入れたわけでは断じてない。

真っ直ぐに申し上げて、活躍するアスリートらは死ぬほど苦しい思いをして挫折にも逆境にも幾度となくぶつかって、それをなんとかギリギリのところで跳ね返して現在がある。

彼らのメンタルは、苦しさに耐え切って誰より屈強になったのではないだろうか。

やはりメンタルの中心も本人が、そして最後も本人が乗り越えるしか方法はない。

苦しさなど排除できない

これは安易に、ただ苦しさに耐えろと言っているのではない。断じてそんな話はしていない。

成長の過程において苦しさはどうしても避けて通れないのであって、それを悪いものだと排除することは成長するなと言っているのと同じ事だ。

大小問わず苦しいことを生きることから取り除けるものではないし、それは成長や前進のための必要な試練であるから、それに打ち勝つことが挑戦とも言える。

そういう意味において、巷に広がる安易なメンタル・トレーニングや心理学の話はウソが多い。

なにがどう間違っているのか、次号で続けていきたい。

(つづく)

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この記事を書いた人:梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。