【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより13『ドラッグスクリーン4(スクリナーを助ける工夫)』
アメリカ代表のプレーより
本稿では、前回までのオーストラリア代表のドラッグスクリーンに関連し、アメリカ代表チームのプレーを紹介します。
アメリカ代表も、アウトサイドの選手の突破力やシュート力を活かす為、トランジションでのドラッグスクリーンを活用します。
また、オーストラリア同様にラムスクリーンを活用する事例も見受けられました。
1、プレーの構造
2、プレーの流れ
突破力のあるアウトサイド選手がボールを運ぶシチュエーションになった際、当該選手にとって有利な状況を作るべく、ドラッグスクリーンが活用されます。
さらに、スクリナーのディフェンスに対してスクリーンに向かう事で、ボールスクリーンの局面でさらに効果的な2対1を創出する事が狙いです。
スクリーンの後、直ぐに適切なスペーシングを取る事が重要です。
オーストラリア同様、直ぐにボールと反対サイドの3Pエリアへと向かっていきます。
ここでは、ボールマンディフェンスがスクリーンに当たりました。それをかいくぐり、スクリナーの上を通ってボールマンに喰らい付きます。
スクリナーのディフェンスは、ラムスクリーンの影響を受けている都合、ドリブラーとは距離があります。
3Pシュートを打つ事も狙えますし、空間を利用し、さらに加速をしてインサイドのディフェンスを抜こうと様々なスキルを活用する事も可能でしょう。
その事を察しては、X3の選手がボールマンの突破を守ろうとヘルプを強めました。その瞬間を見逃さず、直ぐに3番へパス。見事な3Pシュートに繋がりました。
さらに、リバウンドの場面に注目しましょう。
ボールスクリーンの余波もあって、アメリカ代表のインサイドの選手とギリシャ代表のアウトサイドの選手がリバウンドを争っています。
仮にシュートが外れた際、このエリアにボールが落ちれば、インサイドの選手がリバウンドを奪取したことが予想されます。
3、総括
本プレーでも、基本的なコンセプトに基づきプレーを実施する事が前提にあります。
その後、X3の寄りを見抜いて鋭いパスをした判断、及びシュートを打てる間合いと判断をしてシュートを打ち切り、見事に成功させたスキルこそが重要です。
その部分が十分に鍛えられていなければ、ラムスクリーンからドラッグスクリーンを活用したとしても効果的なオフェンスを構築する事は難しいはずです。
逆に、局面、局面でコートの状況を適切に捉え、判断する能力や確実に遂行するスキルがあれば、簡単なコンセプトの組み合わせで多彩なオフェンスが可能となります。
大会では、思うように上位へと進出できなかったアメリカ代表です。
個人の能力に依存しているという見方もあるかもしれません。
しかし基本的なコンセプトの基づき、オフェンスでもディフェンスでも素晴らしいプレーの応酬を見られる事が出来ます。
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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