FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」番外編2【ミロシュ・テオドシッチ選手のパス】
東京五輪では女子代表チームの町田瑠唯選手のアシスト新記録などが大きな話題になりました。
- ファーストブレイクからの的確なパス
- アウトナンバーでのパス
- ハーフコートで隙を突くパス
に加え、ドリブルをしながら広い視野を保てるスキルや右手・左手の両方を自在に扱うパスのバリエーションの多さもアシスト記録を支えた要因といえるでしょう。
本稿では「パススキル」に着目し、2回目の番外編として全世界的にパスの名手として存在感のあるセルビア代表チームのポイントガード「ミロシュ・テオドシッチ選手」のプレーに着目してみたいと思います。
2014年ワールドカップ、2016年リオ五輪とでセルビア代表チームの準優勝に大きく貢献し、NBAでも存在感を発揮した名選手です。
【ミロシュ・テオドシッチ_ハイライト集】
「ドリブルからのパスの出しどころの豊富さ」に着目します。まずは下記の動画をご確認ください。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
サイドラインからのアウトオブバウンズのケースで、セルビア代表は図のように動きを取ります。スタートは、トップの位置からのピック&ロールです。
この場面、イタリア代表チームのスクリナーのディフェンスは、ドロップと呼ばれる守備戦術でミロシュ・テオドシッチ選手のリング方向へのドライブを防ぐと同時に、自分のマークマンにも目を配ります。
元々のマークマンがスクリーンを交わし、ミロシュ・テオドシッチ選手に追いつくまでの時間稼ぎをする意味合いもあります。
スクリナーに対し、X2の選手もポジションを変えて加勢します。完全に自分のマークをノーマークにするわけではありませんが、5へのパスコースを消します。
少しでもパスが乱れればスティールのチャンスです。X4についても同様です。
ここで、ミロシュ・テオドシッチ選手の見事なパススキルが発揮されます。
コートの動きを見たうえで、反対サイドの4の選手へのパスをうかがいますが、ディフェンスが密集している為ワンハンドパスやチェストパスではパスを通すコースがありません。
そこで、ドリブルを終えるとボールを肩越しに移動させ4へとパスを通します。
ここで着目したいのは、ミロシュ・テオドシッチ選手の利き手です。右肩の肩越しであればシュートモーションに近い動きでもあり、パスのコントロールをすることも可能かもしれません。
しかし、左肩の上部から4の方向へとパスを出しています。
3、まとめ
普通の選手であれば、そもそもこのような発想を持つことすら難しいかもしれません。
それでも、この局面で4へのパスを出すには非常に合理的な方法です。
ドリブルからのパスを展開する方法として、「聞き手と反対側の肩越しからのパス」というのを発想に加えることも有効になるという事例と言えるでしょう。
町田瑠唯選手のアシストを支えている技術として、「パスの出す方法の豊富さ」について言及しました。ミロシュ・テオドシッチ選手も同様です。
パスを探求する際に、その視点からもスキルを研究すると成功率が高まるかもしれません。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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