スペインピック&ロールが成功しなかったプレー~アジアカップ日本女子代表のオフェンスより3~
引き続き、女子アジアカップの女子代表より、スペインピック&ロールの攻防を取り上げていきたいと思います。
同チームはコート上のプレーの指針として『選手が自信を持って判断するバスケットの追求』・『選手自身が自分でバスケットをする感覚を大切にする』とありました。
具体的には、下記3つのポイント
- ナンバープレーにより選手がロボットのように動くのではなく、フリーで選手が混乱することもないバスケットの仕方を追求する
- その為のカギを原則とする。
- その上で、原則を生かして瞬時に5人が自信を持って判断し、シンクロできることを目指す
が語られています。
本稿では、スペインピック&ロールが守られたケースを扱います。
攻防の流れ、及びどのように判断さればシュートチャンスを作れたのか、という視点で考察を試みます。
前回までの記事の通り、本質ではないかもしれません。
●遂行力の高いスペインピック&ロール~【日本女子代表】アジアカップより1~ ●マークマンの動きを把握!?スペインピック&ロール~【日本女子代表】アジアカップより2~
しかし、チームとして共通理解のあるプレーの流れを紹介することで、読者の方が少しでも女子代表の目指すプレーを理解する一助になることを目指します。
1.プレーの流れ
2.流れ
オフェンスリバウンドを獲得後、PG#23山本麻衣選手がボールを保持します。
トップの位置から、スペインピック&ロールがセットされます。
#3馬瓜ステファニー選手がボールマンのスクリーンに、#33中田珠未選手が後方に位置します。
#23山本選手は、マークマンの配置を見てリジェクトを狙います。
リングに近づく中、X3が行く手を防ぎます。
また、元々のマークマンも後方から追走してきました。
#3馬瓜ステファニー選手は、ゴール下の近郊でポストプレーを狙います。
しかし、元々のマークマンであることも影響し、リング下ではボールを優位な形で受け取るチャンスは作れませんでした。
#33中田珠未選手は、X1に対してスクリーンを狙いますが、上手くコンタクトできません。
トップ方向に上がりますが、X1の選手にしっかりとマークされています。
#23山本選手は一度3Pの外側に下がり、再び1対1を仕掛けますが、相手チームのディフェンスに封じられます。
ジャンプシュートを放ちますが、シュートが外れました。
3.まとめ
どのようにプレーをすれば、本プレーが成功したのか、という視点で考察してみたいと思います。
今回のプレーについて、#23山本選手とインサイドX4のマッチアップであることが特徴です。
ここでスピードのミスマッチを攻略できれば、得点をする可能性がありました。
しかし、この位置にはシューターの選手が配置することも多いです。
その場合、X3とのマッチアップになり、そこまでスピードのミスマッチとは言いにくい状況になります。
例えば、リジェクトをした際にも最後のスクリナーである#33中田選手は、最初のスクリナーのディフェンスであるX5に対してスクリーンを狙う方法もあるかもしれません。
#3馬瓜ステファニー選手がノーマークでゴール下にいけば、X3はゴール下の狭いエリアで2対1となります。
また、X3がゴール下を守る場合やX5が必死にゴール下に戻る場合、トップの位置がオープンになりやすいです。
リジェクトをした際の、スクリナーの考え方には様々なオプションがあるかもしれませんが、X1の選手が元々のボールマンを守ろうとしていることもあり、様々な選択肢が存在します。
試合中の映像では、#33中田選手がX1にスクリーンを試みようとする様子が見られました。
トップのスクリーンがリジェクトになり混沌とした状況になる中、最善のプレーを模索されたはずです。
しかし、結果としてピック&ロールをセットするには、非常に狭い位置での仕掛けとなります。
ボールマンは勿論、3人目のスクリナーの判断能力の向上も、スペインピック&ロールの遂行には重要になるでしょう。
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