FIBA-OQT決勝「チェコ対ギリシャ7」実質的な数的優位をしっかりと認識する判断能力
今回は、チェコ代表チームのハーフコートオフェンスを題材としたいと思います。
2019年ワールドカップでの高確率の3Pシュートの背景には、見事なトランジションオフェンスの存在があります。
今回も、チェコ代表のトランジションオフェンスに着目してみたいと思います。
1、プレーの構図
2、流れ
- チェコ代表のディフェンスが成功し、ファーストブレイクのチャンスとなりました。
- #19オンドジェイ・シェナルが、リングに向かって走り出します。
- ギリシャ代表の選手も戻ります。
- ボールを保持する#13ヤクブ・シジナとで、2対2に近い状況となっています。
ここで、ボールマンの後ろの関係性に着目してみましょう。
非常に混沌とした状態ですが、ボールマンの後ろの状況も鑑みると、チェコ代表チームが4対2のようになっており、数的優位です—(A)
- ギリシャ代表は、ボールマンを止めようとマークをします。
- その様子を見て、#19オンドジェイ・シェナルを守るべくディフェンスが移動しました。
それを見越したかのように、画面奥側から走りこむインサイドの#1 パトリック・アウダへとパスを出し、見事にファーストブレイクが成功しました。
このケースでは、さらに、最後の局面でパスが発生し、#13ヤクブ・シジナが得点する可能性も十分に考えられたと思います。
3、総括
強固なディフェンスからのファーストブレイクとあり、非常に素晴らしいプレーでした。
チェコ代表の、決勝戦を象徴するプレーともいえるかもしれません。
まず、このプレーが成立した背景には、よく走れていることが大前提にあるといえるでしょう。
下線(A)のような状況になったのは、攻守の切り替えの瞬間に躊躇なく一瞬でダッシュをした姿勢があってこそだと思います。
また同時に、早く走れるだけではこのようなファーストブレイクも出せないはずです。
もし、ボールを保持する#13ヤクブ・シジナが無理に前方へのパスを狙い、またそれがミスになれば下線(A)の実質的な数的優位がなきものになってしまいます。
上記より、早い展開からの得点を成功させるには、早い展開の中で認知と判断を的確に行い、最終的に正しく実行することが求められるでしょう。
今回も、ゴール下のレイアップとなりました。
しかしこのケースでも、ギリシャ側の守備の人数が多くゴール下を守った場合は、ノーマークの3Pシュートのシチュエーションに繋がったはずです。
このように、ゴール下でのノーマークシュートを作り上げる能力は、ノーマークの3Pシュートと密接な関係性を持つものです。
素早く走れることを前提に、素早い展開の中でも的確にプレーを発揮できる状況判断能力を磨いているからこその素晴らしい事例といえるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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