FIBA-OQT決勝「チェコ対ギリシャ6」~パトリック・アウダ選手の華麗なドリブルプッシュ~

オフェンス戦術 スキルアップ 片岡 秀一

2019年ワールドカップで躍進し、東京五輪でも存在感を見せたチェコ代表は、高確率の3Pシュートを武器としています。

見事なトランジションオフェンスとハーフコートオフェンスが存在し、その要因の一つとしてパススキルの高さを紹介してきました。

今回も、トランジションオフェンスの事例を取り上げ、チェコ代表の華麗な連携を考察してみます。




1、プレーの構造

ドリブルプッシュ

2、流れ

#1パトリック・アウダ選手がリバウンドを獲得し周りの選手が走り出します。

ボールを受けられる位置にいるのは、#8トマシュ・サトランスキー選手だけです。

チェコ代表は、 #8トマシュ・サトランスキー選手以外にもフォワードの#11ブレイクシルブ選手がボール運びの役割を得ています。

ただし、2名の選手が同時にボールを受けようとするケースは少なく、リバウンド後の局面で、前方に位置する選手は猛烈にダッシュを開始します。

これによりリング方向で素早くボールを運ぶことが可能となります。

今回は、パスコースやコートの状況を判断した上で、#1パトリック・アウダ選手が自分でドリブルを試みます。ボールを奪いに行くディフェンスを交わし、ドンドンとリングへと前進します。

最後は数的優位になり、巧みなステップでゴール下のシュートを成功させました。

3、まとめ

近年のバスケット界では、大柄な選手をオールラウンドに育てる構想が叫ばれており、筆頭として、3Pシュートのスキル習得に取り組まれています。

バスケットボールの競技特性を踏まえれば、ディフェンスリバウンドから自らボールを前方に進める能力も大切な要素の一つになるはずです。

スピードドリブルでボールと自分自身のバランスをコントロールできることに加え、コートの状況を判断した上で的確なパス能力も求められます。

場合によっては、ターンオーバーをするがゆえにインサイド選手のドリブルをNGとしているケースも多いはずです。

実際のゲームでは難しい場合でも、練習ドリルの中やチーム内のスクリメージ等では、段階的に挑戦させることが、選手が次のステージに進んだ際には有効になるでしょう。

今回のケースでは、自らゴールを決めました。

これは最高峰のプレーとした上で、例えばディフェンスリバウンドを獲得後、良いアウトレットパスのコースが存在しない場合、1、2個のドリブルを許容することがステップとして挙げられます。

最終的なチームの目的として、素早くボールをリング方向へと進められるためのドリブルを選手に許容し、練習を重ねることでオールラウンドな能力を備えた選手へと成長していくステップになるのでしょう。

ただし、この際2人以上の選手がアウトレットパスを受けようとしてしまうと、コート上が混雑してしまい、ひいてはダブルチームの餌食になります。

インサイド選手にドリブルを許容すると同時に、周りの選手の共通認識等を整備することも合わせて重要になるはずです。

チェコ代表のように1人の選手以外は前方に走ることが決まっていれば、インサイドの選手としては、

  • 自分で前に進むのか
  • アウトレットパスのコースがあるかどうか

の2択の中でプレーを考えることができる為、非常にシンプルです。

今回はゴール下での得点となりましたが、ギリシャ代表が#1パトリック・アウダを止めようとした場合、アウトサイドの3Pシューターがノーマークになるスペーシングでした。

本プレーも、高確率の3Pシュートを作り出す要因の一つといえるでしょう。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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