FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」イタリアのディフェンス7

スキルアップ ディフェンス戦術 戦術 片岡 秀一

今回のプレーは、ガード同士のスクリーンの後にフレアスクリーンが発生するケースです。

コート上の現象を踏まえ、イタリア代表チームのディフェンスコンセプトを紐解けるように試みます。

1、プレーの構図

2、流れ

セルビア代表チームのフォーメーションプレーです。
スタッガースクリーンを活用し、トップの位置にアウトサイドの選手がボールを受けます。その後、連続してポイントガードのテオドシッチがボールを受け取ります。

ガード同士のハンドオフに対し、スタッガースクリーンに位置していた選手がテオドシッチ選手へスクリーンをセットします。
ポイントガードのディフェンス(X1)にとっては、ハンドオフへの対応とピック&ロールとが連続して発生する局面となりました。

この場面でも、X1の選手は必死に追走します。また、スクリナーのディフェンスはヘッジをしてテオドシッチの進行を妨げます。
ボールマンを積極的に守る代わりに、危険が増すのがスクリナーのディフェンスです。
当たり前のようにコーナーのディフェンスは、スクリナーがゴールへ飛ぶ込むエリアを防いでいます。

その後、テオドシッチはリング下へのパスコースを諦めウィングの位置へパスを試みますが、ディフェンスのプレッシャーが効いていたのでしょう。
パスのタイミングや強さが受け手とタイミング合わずに、サイドラインを割りイタリアボールとなりました。

3、まとめ

このケースは、前回紹介した「Double Dragと呼ばれるオフェンス戦術へのディフェンス」と非常に酷似しているといえるのではないでしょうか。
アウトサイド選手の突破を苦しめることができるディフェンスの脚力を持つ選手がいる事が大前提となりますが、守備の戦術に一貫性があります。

実際のイタリア代表チームの守備戦術の全てを分析できているとは思っていません。

しかし、セルビア代表チームのオフェンスに対し、なるべく一貫性を持った守備戦術を持っている事を感じ取れる場面ではないでしょうか。
各オフェンス戦術に対して対応策を用意することも大切ですが、基本となる守備戦術の精度や強度を高めることで、様々なオフェンスに対応しようとされていると感じました。

以前、Euro Basketball Academy coaching clinic(2018年6月)にて、講師のトーステン・ロイブル氏は下記の2つのメッセージを参加者に伝えました。参考として末尾に記載いたします。

①Trust your basic team defence「自チームディフェンスの基本システムを大切にしてほしい」

基本となるシステムを大切にすることが重要。自分たちのDFシステムに自信を持って取り組んでほしい。
問題が起こり、パニックになってしまって、ゲームの序盤からディフェンスシステムを大きく変更したとする。
そういう事は出来ればしてほしくないと思っている。

ディフェンスシステムの大幅な変更は「我々のディフェンスは上手くいっていない」という影のメッセージを選手に伝える事にもなる。
それは、選手にも戸惑いを生む。まずこれが、私からのメッセージです。そうならないように準備をする事が重要です。

②Never change a winning concept「勝利へのコンセプトを安易に変えてはならない」

皆様のチームには、勝利に向けて練り上げたコンセプト、勝利への道筋があるはずです。それを簡単には変えて欲しくありませんし、簡単に変えるべきでもないと思います。
もちろん、問題に対してアジャストするような事は良い事です。
例えば、目の前の試合がスムーズに進んでいかなかったとする。コーチとしても快適な気持ちではない。それでもやはり、考え抜いて導き出した自分たちのチームの勝利へのコンセプトを安易に変えるべきではありません。

「自チームの基本システムを大切にしてほしい」と関連する考え方です。

「ディフェンスのツールを持つ事は重要だ。しかし、勝利へのコンセプトは安易に変えるべきではない」Euro Basketball Academy coaching clinic(2018年6月)レポート

http://goldstandardlabo.com/blog/2019/04/07/post-4089/

ご質問・お問い合わせについて
いつもブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。バスケットボール上達塾では、バスケットボール上達のためにブログやSNSで情報発信をしています。また、バスケットボール上達のためのDVD教材の販売も行っております。バスケットボールに関するご質問やお問い合わせ、ブログ記事に対するコメントなどがありましたら、下記のメールアドレスまでお気軽にご連絡ください。
メールアドレス:info@basketball-school.jp
この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
持久系プロテイン

ビーレジェンドプロテイン「スポーツ&ウェルネス」の 詳細はこちら