【梅原トレーナーのからだづくり哲学】タッパ飯とスポーツ・メンタルに共通した誤謬(下)
スキルアップ トレーニング メンタル(心) 指導法 梅原 淳 育成法
前回にお話したように、スポーツはそれ自体が困難な性質のものだ。そこで活躍するトップ選手たちは皆、その困難を一番強く乗り越えた人たちである。
私たちは上位で活躍するアスリートを手本として、自らの成長のために彼ら彼女らから、その秘訣を知ろうとする。
それは子どもが大人のプロ選手などに学ぶという意味に留まらず、各年代においてそのトップチームおよび選手の持つ性質や努力から学ぶものは大きい。
ではその人たちから、メンタル的なものは何を理解するのか。
完全に操縦不能
彼らこそ、信じられないほどの辛い鍛練をおこなってきた強者たちだ。彼らに生易しさ、気安さ、意思の弱さ、デタラメさがあるだろうか。
もちろん、そんなことでは困難は乗り越えられない。誰よりも強く揺るがないタフさを、日々の辛い鍛練で身につけたのだろうと、たやすく想像できる。
トップ選手ほど、苦しさのなかで育ってきたということだ。
だったらメンタル・トレーニングとは、その苦しさのなかで負けない心をつくることが本質ではないのか。
それを誤って取り入れてしまい、辛いこと自体がいけない、苦しく感じるのはいけない、気分良くさせておかないといけない、悪い面は見て見ぬ振りをする、などというメンタルを強化するどころかまったく踏ん張りを利かせられない弱い人間を育ててしまっている。
両面を見てこそ判断が利く
どんな困難に直面しても、心が折れず逆境をこそエネルギーにして乗り越える力が真の「メンタル・タフネス」だ。
それはメンタル・トレーニングなるものが流行る前から、私たちは充分に経験していたはずだし、とくに日本は遠く2,000年以上前から我らが先達はそうやって国づくりをしてきたからこそ、いまの最先進国の日本がある。
それを現代ではどんなことでもあまりに気安くポップをつくってしまう為に、メンタルも本質を外して他の要素とない交ぜにされて世に広まる。
最初にお話したタッパ飯も、よく調べもせず間違った方法で取り入れる人がいて、それを指さして批判の的とし持論を伸ばそうとする人も現れる。
どっちもどっちである。使い方も浅ければ、批判も浅い。
物事はできるだけ精確な情報に基づいて、じっくり考えを深める必要がある。その上で判断や正解は決してひとつではないが、良い面と悪い面についてフェアに扱えるようにはなる。
見方はフェアに、そして行動は大胆に。誰かが言っていたのを思い出した。
一つの目的を果たそうとすれば、リスクはついて回る。そのリスクを悪とするならば、この世は一切動けなくなる。
正解(善)と不正解(悪)があるのではなく、成果成功にリスクが伴っているだけのことだ。物事にはつねに両面が存在している。
SNSは気をつけよう
タッパ飯もメンタル・トレーニングも氷山の一角である。
私たちの日常には、情報不足と安易な決めつけによって間違った認識で善し悪しを判断してしまっているものが、もっとたくさんあるはずだ。
なんでも知れるスゴい時代になったが、TVなどのメディア、それからネットとくにSNSの使い方は充分に気をつけるべきだろう。
簡単な文言で安く決めつけてしまうことは、大きく操作を誤る可能性をつくる。
とくに学問に関わることは、結論づけてしまわずにひとつの「手立て」と理解しておくことが望ましい。
そうすれば決めつけや傾倒をせずに済むし、自分が選んだ材料という認識を持てて、あくまで選択の域を出ない。
他にも考えるための情報はあると謙虚に捉えることができて、学ぶことを忘れないはずだ。
この世に結論は無い。知ったつもりになる前にもっとよく調べよう。きっと賢明な判断が生まれるに違いない。
(了)
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