【梅原トレーナーのからだづくり哲学】タッパ飯とスポーツ・メンタルに共通した誤謬(中)

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タッパ飯とスポーツ・メンタルに共通した誤謬(上)

タッパ飯が間違った解釈と使われ方をしていることに言及し、私たちがスポーツ現場で日頃いかに良き手段であるものをまるで活かせていないか、誤った理解のまま一般化されているかに警鐘を鳴らした。

今日はもうひとつの例を挙げてみよう。

同じく本線から大きく逸れて、あらぬ方向へ突っ走っている。

メンタル・トレーニングは一体なにを鍛えている?

なぜメンタルを鍛えねばならないのか。

私はチームづくりや選手づくりの根源はメンタルだと考えている。もっとも重要な自分の支えであり、心が逞しいか優柔かで命運ははっきりと分かれると言って良い。

それは現場にいる誰もが、経験を通して実感している“当たり前”だ。

メンタルを鍛えるとは、揺るがない強い踏ん張りの力をつくることである。困難にあえて挑戦するのがスポーツであり、ただでさえ体にきついことを自らおこなって、しかもその出来具合を競おうとしている。

これがどうして心の定まっていない者に耐えられるだろうか。私たちは自らそんな環境へ足を踏み入れている。それがスポーツというものなのだ。

そこへメンタル・トレーニングというものが流行った。

苦しい気持ち、辛い気持ち、落ち込む気持ちを作らないように、良いパフォーマンスを生むために脳へ良い印象を植え付けようとする方法論である。

専門的に導入している選手やチームも多いと存じ上げているが、強いメンタルはあまり育っていない。

メンタル・トレーニングはすでにポピュラーであり、専門的ではなくとも心の問題やイメージづくりなどポジティブ思考を重視している傾向は強い。

ただ現実社会はメンタルが強くなっているどころか、益々後ろ向きになっているようにすら感じられ、夢や目標など抱くこともなく中途半端な平均点でユル〜く部活動をしている子らが多い印象を受ける。

なぜメンタルは育たないのか?

苦しいことは悪いこと

昨今は、良いイメージを持ちましょうというメッセージが多くなり、ポジティブ思考、得意を伸ばす、褒める指導などへスポーツ界が大きくシフトしてきている。

日本人の自己肯定感の低さに苦しみ、またスポーツ界のしごきが社会的な問題となって、それを救うひとつのムーブメントのような格好で盛り上がってきた。

ただこの大きな社会問題にメスを入れる一方で、見えざる悪い面も生まれた。

それは、「困難なことはしない」というスポーツの風である。

これは私がはじめから予期していたことだったが、心のあり方をプラスにすることが、困難な局面を否定する風潮が生まれることにも繋がってしまったのだ。

ハードな練習をしてはいけない、難しい課題を出してはいけない、檄を飛ばしてはいけない、それらは心をマイナスにするから、それは成長を生まない負の産物だと位置づけられた。

まったくの誤認であるが、学問的なことが社会に浸透するときは必ずなんとなく伝わり、誤って使われるのが世の常でもある。

スポーツメンタルが軟弱をつくった

心を前向きにして気分を上げること、脳をクリアな良い状態に保つことは重要だ。すべてはそこに委ねられている。

ただ心を良い状態にすることは、辛いことはしないとか、悪い面は見ない、ということでは断じてないそんな楽に気分良くしてくれる場所を見つけよとは、誰も言っていない。

しかし世間的には、良いメンタルをつくることや未来への新しい指導法について、このように解釈している人たちのほうがずっと多い。

完全な誤解である。

だから今その浸透がより強い環境にいる選手やチームは、ちょっと練習のアクセルを踏み込むと途端に滅入ってしまう。

さほどのことでもないのにすぐ弱音を吐き、まるで頑張らず、自己投資もしない。コーチが意図的に厳しさをつくって鍛えなければ、ずっとテキトーでデタラメのままだ。

自らはなにも労せず、ただ気分が良い状態だけを求めている。そんな人間が、困難が売りのスポーツというものを、一体どうやって楽しむことができると言うのか。

私たちはメンタル・トレーニングの本質を、大きく間違って覚えてしまった。

(次号へつづく)

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