【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより14『アーリーオフェンスでもGood Speedでプレーをする』

オフェンス スキルアップ ライター 動画 戦術 片岡 秀一

前回の記事では、アーリーオフェンスの中でのドラッグスクリーンを絡めたアメリカ代表チームの素晴らしいプレーを紹介しました。

今回も、アメリカ代表の映像を例に、考察していきたいと思います。キーワードは『Good Speed』です。

1、プレーの構成

2、プレーの流れ

手チームのフリースローが外れ、リバウンドをアメリカ代表が獲得します。

フリースローの後であるので、ギリシャ代表もしっかりと戻っています。

通常の攻守の切り替え局面に比べると、ディフェンスが万全の体制で挑めるケースです。

こで、ボールを運ぼうとする#15ケンバ・ウォーカー選手に対し、ギリシャ代表チームがボールマンプレッシャーを強めます

一度は、ディフェンスの影響を受けますが、オフェンス側が一枚上手。

ディフェンスプレッシャーを交わし、リングへと向かいます。

中、#15ケンバ・ウォーカーはフルスピードでリングへと向かうのではなく、6-8割ほどのスピードでリングの方向へ進みます。

また、途中、元々のディフェンスが戻ろうとする進行方向に対し、ポジションを取るような形で完全に前に入ります。

のプレーでは、オフェンスとディフェンスで接触が発生しています。

ディフェンスの進行したい方向にある「空いているスペース」に対して、オフェンス側が先にポジションを奪い、そこに対してディフェンス選手がぶつかってしまったという順番です。

そのコンタクトの余波で、ディフェンスの選手はリングの方向へと走れなくなりました。

勿論、オフェンスの選手も少し横に動いた分、リングへは近づいていません。

しかし、このようなポジションを先に奪う事により、元々のディフェンスの動きを封じることができました

のようなプレーは、ハーフコートでのピック&ロールでも頻繁に見られるプレーです。ディフェンス選手の自由を奪うという意味でJail(牢獄)という表現をされる事もあります。

このように、トランジションの中でもJailを使う事で、オフェンス側が数的優位になりました。

のままペイントエリアへ近づき、オフェンス選手がゴール下で待ち構えるインサイドの選手に対してポジション取りをした事もあって、フリーに近い状態でシュートを放つ事に成功しました。

3、総括

論、そのままリングへと全速力で向かい、いち早くシュートを試みる事も一つの考え方と言えるでしょう。

しかし、フリースロー等の後であり、ディフェンスにとっても十分に戻る余地のある攻守の切り替え局面でした。

最初のディフェンス選手を全速力で抜いたとしても、ゴール下で待ち構えるディフェンス選手に防がれた可能性もあります。

また、一度は抜き去った選手が、再びボールマンに対してチェックをする可能性も否定できません。そうすると、一度は抜いたはずの数的優位が消えてしまいます。

今回のように『コートの状況を把握する余裕があり、かつ、適切にプレーを選択できるような』ドリブルのスピードでプレーする事を『Good Speed』と呼ぶコーチの方々がいらっしゃいます。Jailのようなプレーを選択する際は、多くの場合、『Good Speed』でドリブルをするケースがほとんどです。

また、前回までのドラッグスクリーンにしても、ボールを運ぶ選手が全速力でリングに向かうばかりでは、インサイドの選手がスクリーンをセットするタイミングも逸してしまいます。

ハーフコートだけではなく、フルコートの攻防の中でも、『Good Speed』でプレーをする選択肢や発想を持つ事で、様々なプレーの選択肢が拡がるはずです。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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