【片岡編集長】バスケワールドカップ2019ナショナルチームのゲームより3
2019年の男子ワールドカップはスペイン代表が優勝を成し遂げました。
同チームは、インサイド・アウトサイド共にコート上の状況を的確に判断をしてプレーする選手が非常に多く、流れるようなオフェンスも特徴の1つでした。
本稿では、同チームより、アーリーオフェンスの事例を紹介いたします。
ファーストブレイクを狙えないシチュエーションでも共通のコンセプトを持ち、各ポジションの選手が連弩して流れるように展開されていくことが特徴です。
紙面で全てを表現できるわけではありません。構造的な部分や、背景のご紹介を試みます。
1、基本的な構造の図
2、プレーの流れ
ディフェンスリバウンドからの攻防で、インサイドの選手とアウトサイドの選手がチームのコンセプト通りのスペーシングを埋めるように動いていきます。
インサイド選手の1人はSIDE ピック&ロールの位置、もう一人の選手は、反対サイドの高い位置(2ガードポジションなど。図1より④の選手の位置)を埋めます。
残りの選手は、それぞれが距離を保ちながらコーナー・ウィング等に向かっていきます。
図の位置でピック&ロールを仕掛け、反対サイドへとパス。(※ここでDF側はスイッチをしています)
その後、スペイン代表チームの中心選手の1人であるSergio Llullgaがボールを受け取り、流れるようにピック&ロールへと移行します。
オーストラリア代表は、局地的に1対2の状況を強いられました。
また同時に、ルビオ選手(1)はコーナーへと拡がります。
シンプルなプレーですが、この場面でルビオ選手がカッティング等をしていると成立しません。
ペイントエリアに迫る中、インサイドの選手(x4)は1人で2人(②と4)を守る状況を強いられます。
ステップを使い分け、リング下にアリウープパスを出しました。
◇分析
元々、2に位置する選手には様々なオプションが存在します。
反対サイドにカットするプレーが一つ、X3に対してダウンスクリーンを仕掛けるプレーもあります。
ここでは、2番の選手がダイレクトにボールを受けに移動しました。
オーストラリア代表に対し、一瞬のタイミング的なズレを使って、インサイドよりボールを受けとります。
その瞬間、見事に局地的な2対1を作る事に成功しました。
オーストラリア代表としても、どちらのオプションで攻め込んでくるのかを絞りきれなかったことも予想されます。
ペイントエリアに侵入するタイミングで、3の選手が高い位置に移動します。X3にとっては、パスコースを潰す事が難しくなります。
勿論、考え方によってはコーナーでも良いのかもしれません。
しかし、インサイドへのパスとコーナーへのパスの両方を守れてしまう恐れもあります。
当たり前のように連動している事が、スペイン代表の美しいオフェンスの背景にあると言えるでしょう。
仮に、ここでX3がインサイドの選手へのカバーを強めている場合、スペイン代表チームは当たり前のように3番の選手にパスを出し、ディフェンス側の対応に対して先手を取ります。
基本的なコンセプトのプレーですが、各選手の遂行能力の高さがあると無限の可能性を秘めたプレーへと発展していきます。
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