【梅原トレーナーのからだづくり哲学】そろそろ自立の話をしよう

スキルアップ 梅原 淳 育成法

前号前々号で、育成というものについて話した。日本の育成には病巣がある、それは育成の主体がコーチであるということだと。

根本的な発展は、育成をコーチが手放し、選手本人の自己努力とすることから生まれる。私はこれをスポーツ現場や自前のSNS、本レポートのような文字媒体にて以前から提案している。

コロナに影響を受け、いまだ完成を見ない我が公式サイトにも、組織のスローガンとしてこれを掲げた。

いよいよそれを語る段階に入ったと、前号2つのレポートを仕上げながら感じたので、あなたと一緒に考えていきたい。

少しずつ折に触れて、「自立」について筆を執ろうと思います。

いまあなたは育っていますか?

前号の『育成の議論は本当に前向きなのか(下)』とさらにひとつ前の『育成の議論は本当に前向きなのか(上)』では、その内容の対象がコーチであった

私を含め、教える立場に従事する人間に対して投げ掛けた問題提起であった。

それはひとまず終わりにして、今度は学ぶ側の選手や生徒に向けてささやかにメッセージを届けたい

ひとつ自分に問い掛けてほしい、私は育っているだろうか?と

自分のことをどれくらい考え、どうやって楽しみ、希望を実現させようと頑張っているか。それは大きさとか、どんな態度が正しいとかではなくて、自分で動いているか否かが大事なことである。

人に頼らずに、自分の希望や夢は自分で実現しようと行動しているだろうか。もしかしたら他人に言われることばかりで、自分からは何も動いていないということはないか。

もしそんな現実があるなら、ぜひ変えてもらいたい。

尊厳ある人間が、本人の願ったとおりに動けなくてどうする。誰もそのようなことは強要していない。学校で習ったと思うが、憲法にもしっかりとその権利が書かれている。

どんな人も、自分のしたいように動けるし、そのように人生を送ることができる。

すべては自由である。

育てる責任が強すぎる日本の社会

さて、なぜ突然このようなことを言ったのかというと、日本の教育はじめ社会全体が「育てる」ことに責任を置いているからである。

一人の人間の立派な成長を、その上の人間が実現しなくてはいけない、と日本では当たり前に捉えられている。教育のスタンダードは「育てる」である。

だからレポート前号と前々号でも、育成の話の対象がコーチとなってしまう。

本来、育成の対象は選手である。だったらコーチがどうこうではなくて、選手の成長について議論しなくてはいけないのだが、これが日本ではどこまでいっても話がずっとコーチのままで、一向に前進しない。

だから結局あなたは、親や大人のこうしなさいに則って行動することになる。それが初等教育から始まり、段々と馴染んでいって何年かすれば自分からは行動しない人間が出来上がっていくのだ。

その習い事は本当に行きたいのか?

いま間違ってもあなたを擁護しているのではない。大人や社会が悪いという意味で捉えてもらっては困る。

あくまで己自身が、自分を育てているかどうかが肝心なことだ。私はいまの「育てる」が根っこの教育や子育てを、「育つ」にシフトチェンジしようと地道に発信を続けている。

もしあなたが就学中の教えを受ける立場であるなら、真剣に考えてそして断固実践してほしい。

もっと自由を手に入れよ。

自分がいま学校へ通っている理由、部活をしている理由、習い事をしている理由、日々の生活において目的があるだろうか。

当然あなた自身の持つそれである。他人が決めた目的や動機は違う。あなたの生きている道なのだから、すべてあなたが決めること。

個人として、なにをするために学問を学んでいるの?習い事は自分の意思で通っているの?部活は本当にしたいの?

この問いを、自分から自分へしてみてほしい。そして答えてみよう。

そこから自由が始まります。

自立への第一歩は自由を知ること

自分の問いに自分で答えるのなら、世間体や模範解答的なものを排除して素直な意見を言えるはずだ。

自分で「育つ」ために必要なことはなにか。

本心から頑張りたいと思うことをすることだ。誰に伸ばしてもらうでもなく良くしてもらうのでもなく、自分の手を尽くした成果がいまのあなたである。

もう一度聞く。いまあなたは育っていますか?

自分の主体的な意思で頑張りたいと思うことに、もしも取り組めていないとしたら・・・・

さあどうするか。そのような人は案外に多いだろうと踏んでいる。私の関わる部活動の現場も、そんな不自由な子どもが少なくない。

これは断固、あなた自身の問題である。自分を育てよう。ここからが自立への序章となる。

時期を見て、また投げ掛けたい。

(了)

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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