【片岡編集長】トランジションDFの向上を目指す11

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今回もトランジションDF向上の為の取り組みに関連したプレーを考察したいと思います。

前々回の記事では、リング下へドライブする際に「リング下をドリブルで通り抜ける」というコンセプトを紹介しました。

不利な状態で相手ボールになるのを防ぐだけではなく、自チームの得点チャンスを増やすための考え方です。

当たり前のようですが、得点を競い合うバスケットボールという競技の中で非常に重要です。

リング下でのシュートやステップで安易で軽率なプレーを選択してしまった場合、続くプレーで代償を払わなければなりません。

逆に言うと、この部分の意思決定を慎重に行う事で、大きな恩恵を受けることが出来ます。

◇リング下を通過した際、ミスマッチのチャンスを見逃さない

リング下をドリブルで通過した際、狙い目の1つが「サイズとパワーのミスマッチ」です。ワールドカップ準決勝でのスペイン対オーストラリアより、下記の動画をご確認ください。

上記動画では、PnRに対しオーストラリア代表チームは、センターのDFが後方に下がって守る「Drop」と呼ばれる戦術で守ろうとします。

本来であれば、Dropに対してドリブラーの選手が立ち往生している隙に、元々のマークマンが守備位置を回復する事を意図したDFです。しかし、ここではポジションが不十分だった為、ボールを保持する選手がリングへとアタックを続けます。

このまま放置していては、ボールマンのレイアップを許してしまいます。オーストラリア代表チームは、ボールマンに対してSwitchで対応します。

ここで、安易にレイアップのステップをしてしまった場合、相手DFのサイズの餌食になる事が予想されます。シュート時に身体接触も無ければFTを獲得する事も難しいでしょう。

ここで、前々回の記事で紹介をした「リングをドリブルで通過する」プレーを選択します。

その際、元々のスクリナーの選手とボールマンのDFがリング下付近での攻防となりました。ここで、スペイン代表のルビオ選手はリング付近へとパスをします。インサイドの選手と、PGのDFでは身長に大きな差があります。ノーマークではありませんでしたが、サイズ差により優位な状況でした。スペイン代表チームはダンクを成功させます。

◇チャンスである事を自覚する

このケースで、パスをした選手だけがチャンスに気が付いていても得点になりません。

「自分よりも小さな選手にマークされている事」と「リングに非常に近いエリアにいる個と」の両方を自覚しているからこそ、パスに対して反応できます。

若い世代になればなるほど、サイズのミスマッチに気が付かずに千載一遇の得点チャンスを漫然と過ごしてしまう事も多いです。

仮に、ボールマンの選手がミスマッチに気が付いていない数秒間があったとしたら、自らボールを要求する貪欲さが必要です。

NBAで2シーズン目を迎える八村塁選手は、プレシーズンゲームの中、見事にゴール下で得点を重ねたシーンがハイライト等で流れました。

この場面、八村選手のマッチアップは相手チームGのカイリー・アービング選手でした。

現代NBAではローポスト付近での攻防が減ったと言われることが多いです。しかし、試合を見ている限り、サイズのミスマッチの際には容赦なくリング下での攻防へと持ち込みます。

あくまでも、センター対センターというマークマンでのローポストプレーが以前よりも減少しているという事でしょう。

少し脱線しましたが、ミスマッチを的確に突くことは、不利なトランジションDFの機会の発生を減少させ、自チームの失点を減らす事にも繋がるといえるのではないでしょうか。

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