【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより17『ニュージランド代表のアーリーオフェンス2』
本稿でも、前回の記事と同様にニュージーランド代表チームを題材とします。
男子代表チームの試合を観戦されている方にとっては、111対81で日本代表チームを圧倒した試合が印象に残っているのではないでしょうか。
特に、#9 Corey Websterの突破力とシュート力や、トランジションオフェンスの中でのインサイド陣の正確なアウトサイドシュートに苦しめられました。
本稿では、前回同様、代表的なプレーを紹介します。
これまで、スペイン代表、アルゼンチン代表、オーストラリア代表、アメリカ代表、ギリシャ代表チームのアーリーオフェンスについて紹介をする中で、各国のプレーの構造の紹介と共に、各国のチームコンセプトの分析も試みてきたつもりです。
本稿でも、ニュージーランド代表チームが大切にしているコンセプト等が伝わるような記事構成を目指していきます。
1、構造
※今回は「黒丸」でボールを示しています。
2、流れ
日本代表チームはアーリーオフェンスの中でピック&ロールを仕掛けます。安藤選手のドライブに対してDFが反応した都合、反対サイドの位置でファジーカス選手がシュートを打てる状況となりました。
ファジーカス選手の3Pシュートに対し、#42Isaac Fotu選手がクローズアウトを試みます。
ここで、#42の選手はそのまま自チームの攻めるリングに向かって走ります。
※これについては、日本代表にオフェンスリバウンドを取られる可能性が高くなるため、賛否は分かれると思いますが、本稿では割愛します。
3ポイント成功後、直ぐにオフェンスをスタートします。
シュートチェックの流れで走り出した#42 Isaac Fotu選手は、ウィングの位置でボールをレシーブします。
そのまま、パスをした#0Tai Webster選手がウィングの位置へ向かって走り、ボールレシーブを試みます。この部分は、前回記事と同様の構造です。
日本チームのディフェンスを見てみましょう。
トランジションディフェンスの中、ファジーカス選手はゴール下に戻り、反対サイドからの走り込み等をケアしています。
トランジションディフェンスの中では、ゴール下のノーマークのshotをケアする必要性があります。
このようなケースで、なかなかゴール下を空けウィングの位置にマークをするのは容易ではありません。
ニュージーランド代表の#0Tai Webster選手は、ボールをレシーブすると、ドリブルからポストアップを試みます。
そして、#42 Isaac Fotu選手は、ファジーカス選手の位置を確認してか、ゴール下には近寄らず3Pエリアへと拡がっていきます。
ポストアップをした#0Tai Webster選手は、味方がノーマークである事を確認の上、余裕をもってアウトサイドへのパスを通します。
ファジーカス選手もチェックに向かいますが、余りにもクローズアウトの距離が長くなりました。3Pシュートは外れましたが、決まってもおかしくないシチュエーションでした。
実際、この試合で#42の選手は4本中2本の高確率で3Pを沈めています。
3、まとめ
前回と同じく、本プレーも、日本代表チームシュート成功後のオフェンスの中、チーム外とする形を作れている事に意義があると思います。
ファジーカス選手は、機動力のあるタイプの選手ではありません。
しかし、この場面ではトランジションディフェンスでの鉄則どおり、ゴール下までスプリントバックをし、簡単な失点を許さないように守っています。
それでも、攻守の切り替えでインサイドの選手が迷わずにウィングに走る事、そして素早いリスタートを通じ、すぐにウィングへとボールを届けることで、局地的な2対1を作ることに成功しました。
また、インサイド選手が3Pシュートを得意とする為、トランジションディフェンスの真っ只中の相手チームにとっては非常に守りにくいプレーとなっています。
また、ボールをレシーブした後ゴール下に突進するのではなく、ディフェンスの位置を見極めてポストアップをし、アウトサイドへのパスをした#0Tai Webster選手も見事でした。
“GET”と呼ばれる本プレーも、プレーの構造や特徴を活かすための判断力やスキルを磨いていくことが重要となるといえるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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