【梅原トレーナーのからだづくり哲学】続・自立への歩み 〜新チームのスタートにみえるもの〜

スキルアップ チーム作り 梅原 淳

以前「ある進学校の自立への歩み」と題して、8回にわたり関東の高校チームの活動を記した。今回はその続編として、代替わりした新チームの様子をお届けしたいと思う。

2019年6月20日、私はそのチームを訪問していた。先のインターハイ県予選で敗退し3年生は引退、2,1年生の新チームでの活動に移行している。

自立への歩みはこの代替わりにおいて、もっとも顕著にその様子が見えてくる。果たしてどこまで成長しているだろうか。

引っ張ってくれた3年生が引退し、引っ張ってもらっていた2年生が今度は入学してきた新入生を引っ張っていくことになる。それができるか。

もちろん、できるように積み重ねていくしかない。これがチームづくりというものだ。どんなチームも経験する代替わりの苦しみと言ってよい。

昨年入学してきて、まだまだ入りたてだから、1年生だからと、のんびり気を抜いてやっていたとすれば、ここで後悔する。

蓄えた1年間が良いものならば、万全ではなくとも少なからず新入生を引っ張っていけるだろう。2年生がチームを引っ張っていく理想的な構造をつくることができる。

これが代替わりした初期段階でどのくらいなものか、私が一番気にかけるところだ。

自分を伸ばせる力

引退した3年生は県大会で一回戦負けだった。しかしそれでも良いと思う、成長を遂げられたのならば。自分で何かを掴めたと確信できるものがあるのなら、何にも代え難い。

新チームはどうだろう。順位とかランキングなど二の次だ。選手の素材など気にもならない。優秀な選手がいるから今年は勝てるとか、いないから難儀だとか、そういうことではない。

育っていけるのかどうか、それが唯一気になる。一回戦負けでも優勝でも、今の自分たちから育っていけないのならば日々の取り組みは無駄に終わる。

技術を伸ばすこと、競技力を上げることに励むのが部活動なのだから、取り組むレベルが下がればチームは伸びない。選手個々の技量も当然上がらない。変わらないことほど、虚しい結果はない。

だからチームづくり、組織づくりでは、そこにもっともエネルギーを使う必要がある。この代替わりの時期というのは、毎年とくに力を注ぐところである。子どもたちの考え方が大人になるきっかけにもなっている。

結果

2年生はおそらく、昨年一年間の頑張りが足らなかったが為に、出だしからオロオロもたもたと行動が安定しなかった。円滑な練習の進行がなされなく、当然内容も薄く浅くなった。この調子だと、今年の新入生の上達も鈍るだろう。

この新チーム一回目のトレーニングに際して私から提案したことは、

  1. 人任せにしないこと
  2. 自分たちでチームづくりをすること

この二つだ。

もちろん何年も前から言っていることではあるが、とくに強調して話をした。

最初の「人任せにしない」というのは、一人の選手として当事者意識(自意識)をもち、何事も主体的に行動しようということである。毎日の練習を「チームで」するのではなく「自分が」するという意識がほしい。いま誰が練習しているのか?そう問われたら、自分だと答えられるようにしたい。

二つめの「自分たちでチームをつくる」というのは根っこのテーマでもあるが、とくに2年生に考えてもらいたい。新チーム発足にあたって、こんなチームにしよう、こういうところをもっと改善しよう、伸ばしていこうと皆で話をしたかと聞くと、何もしていないと返ってきた。

新チームが始まるときに最初に課題とするべきものは何か、最後の目標はどこか。目的と目標が絶対的に必要だ。そこからさらに具体的な取り組みを計画することも欠かせない。

自分たちのチームなのに、どう育てていくかをなぜ考えないのか。

これがまさに「自分」の欠如だと私は見る。

自分が前に出るとチームが作られる

自分が育たないのも、チームが育たないのも、数十人の部員が皆、自己意識に欠け自分のことを他人に預けるつまり日々の部活動を「人任せ」にしているからに他ならない。

自分たちの手でゼロから組み立てて完成させるという感覚はなく、失礼な物言いだが都合良く便乗しているような格好に近い。組織づくりの当事者であり役割があるという意識が、決定的に欠けていると言わざるを得ない。

彼らに提案した二つは、本当は二つで一つでありどちらも根っこは同じ事を言っている。人任せにしなければ自分の成長とチームの成長を一人一人が考え行動するだろうし、チームづくりを自分の仕事だと思うならば、それはすでに人任せではなくなっている。

自意識が芽生えれば各自が積極的に取り組むから、練習の進行も円滑に進むだろう。

根幹は自分を前に出して自分の責任において行動するということであり、それを一言で表現すると「自立」となる。

まだまだ、全体に紛れて自分を放棄している生徒が多い。

コートのド真ん中に立とう

代替わりの最初だから大目にみようという考えの人もいると思う。私も心の中では「はじめからできるはずはない」と認めている。しかしそれは気に掛けない、放っておくということではいけない。

できないと知りつつ、強く投げ掛けていって訓練しなければいつまでもできるようにはならない。日本は安定してレールが敷かれているような社会だから、何も努力しなければ精神が未熟で弱いまま月日だけが過ぎていってしまう。

進学校だから余計にその中に包まれていれば安泰という、妙な安心感や横着が生まれてしまっているようにも見える。ぬるま湯に浸かって良いことなど、本当は一つも起こらない。

全体に紛れず、自らの積極的な意思をもって物事にあたり、それをさらなる成長の糧にしてもらいたいと思う。

部活動でも自分という一人のプレイヤーをドン!と前に出して、練習ではいつもコートのド真ん中に立つことを心掛けてもらいたい。

2年生も1年生も関係なく、キャプテンだ部長だも一切関係ない。レギュラーだろうと補欠だろうと、立場に違いなどあるはずがない。

いま「オレが練習しているんだ」と、はっきり強く意識して主体的・積極的に活動する人間になるよう、これからも私のできるささやかな手伝いを陰ながら続けていく。

たかが高校生だろうか。そうかもしれない、17歳などまだまだ子どもと言う人もいる。たかが高校生、いいや、されど高校生である。

彼らの修練はこれから。

(了)

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