【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより28 『エリアによりピック&ロールのディフェンスを使い分ける』

スキルアップ ディフェンス 戦術 片岡 秀一

前回に引き続き、2019年男子ワールドカップにおけるリトアニア代表チームのディフェンスを題材といたします。

同チームは、フランス、オーストラリアに僅差で敗退をした為、上位進出とはなりませんでした。

しかし『バスケットボールは宗教』と呼ばれるほどに人気のあるスポーツとして有名であり、世界の最上位チームの1つです。

東京五輪が無事に開催された際、リトアニアが自国で開催するOQTを勝ち上がった際、日本と同組となります。

また先日、同OQTに参戦するスロベニア代表では、ルカ・ドンチッチ選手がナショナルチームの活動に加わる予定である事も報道されました。

下馬評では、リトアニアとスロベニアが決勝戦を戦う事が濃厚と言えるのではないでしょうか。

欧州選手権を制覇した経験を持ち、NBAでも出色の活躍をしているドンチッチ選手と、激しいディフェンスを武器とするリトアニア代表との攻防は注目に値するゲームといえるでしょう。

そのような背景を踏まえ、前回前々回と同様にピック&ロールのディフェンスを題材とします。

ここでは『相手チームがピック&ロールをセットする位置』によるディフェンス戦術の使い分けをテーマとします

1、プレーの構図

2、流れ

手チームが図の位置でハンドオフからのピック&ロールをセットしてきました。

最初、リトアニア代表はアンダーで守ります。その後、アンダーに対してリピックを選択されました。

アンダーをするという事は、オフェンスの進行方向に先回りをするという事です。必然的に、この動画のようにスクリナーのアングルを変えることが有効です。

このままスクリナーのディフェンスが対処をしなければ、

  • ドリブラーによる突破を許されるか
  • アウトサイドシュートを放たれる

シチュエーションです。その場面、スクリナーのディフェンスがボールマンに対してプレッシャーを与えます。ショーディフェンスと言われるプレーです。

ショーディフェンスが機能し、ボールマンは一度ターンオーバーのリスクを避ける為、ドリブルで後方へと下がります。

その後、非常に高い位置で別の選手とのピック&ロールが始まりました。

ここでは、スクリナーのディフェンスがスクリナーの選手の真裏にビタッと付けて動きを封じます。その下側をボールマンのディフェンスが通過します。

れらの繰り返しにより、相手チームのショットクロックを削る事に成功しました

最終的に、元々のドリブラーの選手が元々のマークマンに対し、トップの位置から1対1を仕掛けざるを得ないシチュエーションとなりました。

破に対してもしっかりと守り、最終的には身体を反転させながらのシュートに持ち込むことに成功しました。

ボールマンディフェンスだけではなく、ヘルプディフェンスの影響もボールマンに与えることに成功しています。

3、総括

線部の部分が本稿の注目点です。

仮にここでスクリナーを抑えない場合、アンダーを選択したボールマンディフェンスがスクリナーに接触してしまう恐れがあります。

そうすると、ゴールへの突破を許す事に繋がります。また、そのまま強制的にSwitchをせざるを得ない状況となる事も考えられます。

上記のようなプレーを、Push&Under等と呼ぶコーチもいます。

スクリナーのディフェンスがスクリナーを押し出し(Push)し、ボールマンディフェンスがその下側(Under)を通過してドリブラーの進行方向を先回りするというコンセプトです。

何気なく見ていると気が付きにくいシチュエーションですが、本動画のように3Pシュートを打つにはリングから非常に遠い場合に、アンダーを選択してドリブラーのドライブを防ごうと思った際に、有効となるプレーです。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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