【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより26『選手に示す基準を明確にする』

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リトアニア代表のディフェンスを考察

本稿より、2019年男子ワールドカップにおけるリトアニア代表チームのディフェンスを題材といたします。

同チームは、フランス、オーストラリアに僅差で敗退をした為、上位進出とはなりませんでした。

しかし『バスケットボールは宗教』と呼ばれるほどに人気のあるスポーツとして有名であり、世界の最上位チームの1つです。

東京五輪が無事に開催された際、リトアニアが自国で開催するOQTを勝ち上がった際、日本と同組となります。

あくまでも各ポゼッション単位での考察となりますが、何か一つでもヒントになれば幸いです。

1、プレーの流れ

2、プレーの構造

こでは、サイドでピック&ロールがセットされた際のボールマンディフェンスの脚の動きに着目してみましょう。

この試合リトアニア代表では、サイドのピック&ロールに対しては、ICEを採用せずにDrop&Chase(ビッグマンはドライブを守り、ボールマンが追跡する)かSwitchを使用していました。

の為ボールマンとしては、スクリーンがセットされた反対側に進行する「Reject」をされてはディフェンスが成立しません。

スクリーンのセットと同時に、ボールマンが足の向きを変えています。また、この場面でベースライン側に押し込まれない事も大切になるでしょう。

ドリブルで進まれてしまうと、Fake Rejectの餌食にもなります。(参考:ギリシャ代表のFake reject)

に、2回目のピック&ロールに着目しましょう。ここではスイッチで対応しています。

その際、小柄なX1の選手が直ぐにインサイドに対して身体を当て、サイズのミスマッチの活用を防いています。

もし、この瞬間に少しでも気を抜いてしまうと、サイズの優位性を活かされてゴール下にパスを通されてしまいます。

の後、リトアニア代表のインサイドの選手と、対戦国のアウトサイド選手との攻防になります。

ここでもしっかりと守り、最終的にはドリブルからの2Pシュートに持ち込みました。特に「ロング2」と言われるシュートの確率も得点期待も低くなりやすいエリアとなりました。

3、まとめ

後のシーンについては、アウトサイドの選手を守るインサイド選手の脚力にも大きく左右されます。

オールラウンドに守れる選手を選考する、試合に出場するための条件とする等々の基準を設けることも必要になるでしょう。

仮に、アウトサイドの選手が非常に優れた選手の場合には、全ての攻撃オプションを守る事は難しいです。

その際に重要となると思われるのが「選手に占める基準を明確にする」ことではないでしょうか。

B.LEAGUEで長年に活躍しているドナルド・ベック氏は、トヨタ自動車アルバルク時代、講習会にて下記の言葉を紹介していました。

「“what you teach,what you demand,what you accept” 選手に示す基準を明確にする」

基準、優先順位を明瞭にすること及び、チーム戦術を遂行する上で大切なことに焦点を当てて普段の練習することを重視する。

例えば、当時のトヨタ自動車アルバルクは、外国籍選手も比較的オールラウンドに動ける選手を積極的に採用するケースが多かったです。

インサイドの選手にも、トランジションディフェンス、ローテーションでアウトサイド対インサイドのマッチアップになったとする。

それでも「サイドステップ2歩」にトライをして守ろうとする事を要求した。全てを守る事は難しいにしても「サイドステップ2歩」にトライする事は妥協しなかった。

守る事を諦めて手から止めようとしたり、スティールばかり狙ったりすることをコーチとしては許さないという基準を明確にされていたと言います。

また、毎回の練習ではチームファンダメンタルとして2歩のサイドステップの練習もドリルとして取り組んでいた。チームとしての基準を示すと共に、練習の中でも分かるようにした。

初のピック&ロールのディフェンスについても同様です。

ピック&ロールには、様々な守り方がありますが、選手が困惑しては意味がありません。選手に示す明瞭さも重要ではないでしょうか。

そのポゼッションのディフェンスが成功や失敗をした際に、その理由を具体的に振り返る事が出来ることが重要です。

基準や遂行すべき事が不明瞭であり、様々な要素が混複雑に在していれば、改善をする事が難しくなると思われます。

一例として、U19日本代表チームを率いていたトーステン・ロイブル氏は、基本的にはShowディフェンスをベースに守っていました。

ケースバイケースで、対戦相手によってはピック&ロール戦術を変更したほうが良かったこともあるかもしれません。

しかし、遂行力を高めることでディフェンスのミスによる失点は非常に少なかったことが印象的でした。

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この記事を書いた人:片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)