【片岡編集長】クォーター終盤の攻防を考える5(バスケ戦術)
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引き続き、クォーター終盤の攻防を中心に扱っています。
➡クォーター終盤の攻防を考える1
➡クォーター終盤の攻防を考える2
➡クォーター終盤の攻防を考える3
➡クォーター終盤の攻防を考える4
バスケットボールでは、クォーター終盤の攻防が4回発生します。
特に、1~3クォーター終盤の攻防を優位に運べば、最終クォーターに挑む段階で8~10点分を上乗せできる可能性も考えられます。
試合の勝ち負けにも大きく左右される事は言うまでもないでしょう。
引き続き、2019年に開催された男子のワールドカップより、実際の試合の事例を紹介していきます。
今回は、ワールドカップの順位決定戦、[セルビア代表vsアメリカ代表]の戦いより、第1クォーターのラストを考察します。
先に記載すると、この試合はセルビア代表が序盤に先行した後、アメリカ代表が猛追します。
しかし序盤の点数差は大きく、最終的には94対89でセルビア代表が勝利します。
各クォーターのスコアは、32-7、12-33、27-28、23-21という展開です。
本カードは2014年ワールドカップ決勝、2016年リオ五輪決勝戦のカードでもあります。
いずれもアメリカ代表が勝利しています。
今大会、アメリカ代表はNBAの超一流選手が相次いで辞退とはなりましたが、セルビア代表がリベンジを達成した形となりました。
展開の分析
残り1:02
アメリカ代表が得点し、セルビア代表ボール。この時点で26対7。
セルビア代表は、#7Bogdan Bogdanovicがトップの位置でピック&ロールを仕掛け、下記のプレーより3Pシュートを成功。
ショットクロックの残り時間は0秒(1)
残り43秒
アメリカ代表チームのハーフコートオフェンス。
ベースラインドライブの合わせより、ゴール下でのショット。
ショットクロック残り12秒(2)
アメリカ代表がシューター自らリバウンドを獲得。
シュートを放つも外れる。セルビア代表チームがDFリバウンドに成功。
残り20秒
セルビア代表オフェンス。
Nemanja Bjelicaがトップの位置でボールをキープし、ピック&ロールを選択。
スクリナーのDFが下がっている事を見極め、3Pシュートを放つ。
バンクシュートで成功させる。
ラスト1分の攻防で、セルビア代表は6-0とこれ以上ない形で終了させる。
プレーの分析
1.下線(2)の場面。
アメリカ代表チームは、リスクを絶妙にコントロールしながらプレーをしている様子が見て取れます。
このような時間帯では、逆速攻になる事のリスクは計り知れません。
ターンオーバーをしない事を念頭に入れつつ、得点をする為に攻め込んでいます。
動画での38秒の時間帯、#14 Khris Middleton選手がドライブをしています。
ドリブルをストップした後、インサイドへカッティングしてくる選手へのパスコースがないわけではないです。
ですが、パスを選択しません。
また、そもそもドリブルを止めずに、さらにドライブインでさらに押し込む選択肢もあったと思います。
しかし、留まり一度ボールをアウトサイドへと戻します。
若い世代になるほど、このような場面でも、いつもの時間帯と変わらずにトライをし、ターンオーバーを喫してしまうケースがあります。
勿論、選手の育成という観点では、そのような手痛い失敗をする事で、成長へと繋がる学びになる側面も大いにある事は否定しません。
そのようなミスに対して、厳しく叱責する必要もないのかもしれません。
本稿では、あくまでもアメリカ代表チームのプレーから見て取れるリスク管理について言及するにとどめます。
2.下線(1)の部分でのプレーは下図のような構図になります。
この場面で、3つの良い判断があったと言えるでしょう。
- #7Bogdan Bogdanovicのオフボールスクリーンの使い方。
- トップでのピック&ロールを使った後、相手スクリナーが下がって守っているのを見越した攻防。
X1のDFを見た上での45度へのパス。 - 最後の3Pシュートへと繋がったNemanja Bjelica選手のキックアウトパスです。
ショットクロックは数秒、パスが乱れればシュートも難しいですし、パスの受け手の素晴らしいシュート技術も光りました。
コーナーのDF選手がインサイドのHelpの用意をした僅かな瞬間を見逃しませんでした。
判断力とスキルに長けたセルビア代表ならでは、高い技術が発揮されたプレーといえるでしょう。
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