「どうして靴を揃えることが必要なのか」【梅原トレーナーのからだづくり哲学】

スキルアップ トレーニング 指導法 育成法

からだづくりを行う際、正しい科学に当てはめて手順どおりにプログラムすることを重視することが必要だ。

それは研究された現段階における一応の正解であるから、そこから外れて間違った方法を取ってしまうと、せっかくの努力がムダになってしまうかもしれない。

そうならないために、またより多くの成果を得るためにも、科学的な理論と方法論は意義があり、だからこそ議論も白熱する。

これが正しい、このやり方は間違っている、いや今はこちらが主流だ最新だと、スポーツパフォーマンスに関わる意見のぶつけ合い、知識のかぶせ合いの応酬は烈しい。

ここには運動生理学があり、バイオメカニクスがあり、最近では脳科学まで入ってきて、そこから導き出されたAの理論、Zという方法論、いわゆる「運動の科学」に則って筋肉への負荷を決め、神経伝達を促し、疲労の回復プロトコルもうまくコントロールしようと試みる。

それが素晴らしく、それが唯一つの正解であると言わんばかりの絶対視的思考が、体力トレーニングの分野には根深い。

しかしトレーニングのセオリーは正にそうであるが、それを行うのは人間、不安定と不確定な要素に満ちた私たち人間であることを省いてはいけない。

いちばんの不確定要素

あるときは笑ってみれば違うときには怒りまた泣き、コロッと気分や考えが変わることもある。人間関係に苦しみ、勉強や仕事がうまくいかないことを悩み、失敗を悔やみ、ときに残酷な行為に走ったりもする。

なにをしでかすか知れない不安定な存在が人間であり、そんな私たちの性格や行動をこそ科学する意義がないだろうか。

脳がすべて支配し、感情も脳の働きとするならば、まず精神面、思考面を考慮する必要があると考える。

人間はそれを土台に物事を為すからだ。

為し方によってトレーニングが成される、つまり成果の程が決まるのだから、より重要なのは心掛けと意欲を高めることにある。

私もスポーツ現場では、正しい知識と精確な取り組みが行えるよう選手の意識に働きかけることを、いちばんの配慮としている。

理論の偏り

これは老若男女かかわらず万人に当てはまるが、とくに子どもらでは影響が大きいため、スポーツをおこなう際も一段と気を配ることになる。

心理学や脳科学が世に知られるようになってから、より一層その比重は増えた。これは俗に言う「根性論」「精神論」とはまったく違う。

私はこれらが有無を言わさず悪と見なされることにも異論があり、事をややこしくしている根源だと考えているが、ひとまずそれは置いておく。

たとえば小学生から大学生まで学業が本分の年代、とりわけ中学から高校までがもっとも生活の乱れが起こりやすく、人間関係も大きく変わる時期となる。

この6年間を、意欲と精神の関わりなしにスポーツをするのと、ちゃんと考えて教育し、また本人も努力した場合とでは、競技の上達と成績は大きく差をつける。

そこに運動の科学がたしかに存在しても、ただ理論だけを頼りにしていると、モノにすることができずに終わる可能性が大きい。

それを為す自分を科学できないが故に、スポーツの捉え方を誤るかもしれない。精神は断じて悪ではなく、比重がいちばん大きいものなのだ。

精神を科学する

心の装いは「運動の科学」を現実のものにする。

脳が出した信号によってあらゆる機能が作用することは周知だが、その割に心を整える行為を軽視し、さらには理不尽だと非難する向きが強いのはなんともおかしな話である。

心(脳)と体の繋がりを科学できていない。

ではスポーツの成功者であるプロ選手は、皆が皆、礼儀正しく生活の整った善人なのかと口調を強める人もいるが、それはまったく意味が違う。

人はそれぞれ体格や環境が違うから、違うものを絶対値で測ることはできない。あくまでその個人として、成長の大きさを考える他はない。

しかしあえて反論するならば、プロにまで駆け上がれたのに心がけが薄く生活が乱れたり、腹を決めて人生を一点に注ぐ決意を持てないばかりに、華々しい成功人生を自ら潰してしまうことは大いにある。

しかもそれは稀な例どころか、どのスポーツ競技においても見られる普段の光景である。

何事だって努力と研究なくして技量の向上はあり得ない。

長く第一線で活躍した選手は、少なからずスポーツには真っ直ぐで尽くす人間であるからこそ、可能性を最大限に実現させたのだ。

これを比較や絶対値で測ることなどできようか。

こだわりよりも現実

真面目人間になれとか、正義のお手本のような生活をしろといった堅苦しいことを言いたいのでは、ゆめない。

現実として、スポーツ競技においてより高みを目指そうとするときに、技術論やスポーツ医科学だけで物事が進むことは少なく、心の問題は大きな成長にも妨げにもなる重要な一事であると申し上げている。

トップ選手だけの話ではなく、子どもでもアマチュアでも初心者でも何も変わらない。

これは客観的事実に過ぎない。

そこを時代錯誤だとか非科学だと言うのは大きな誤りであり、それこそ精神を科学していない。

さらに10代とくに先に示した中学高校のあたりは、体が大人になっていく分、思考が身勝手になり行為行動がだらしなくなる傾向が強まる。これも事実だ。

それを知っていれば、より注意し心がけが必要になると必然的に答えが出るし、日常から訓練すべく、私自身もコーチの端くれとして、話をしっかり聴くことや、靴を揃えさせたりもしている(当然ながら自ら実践し模範を示している)。

きっかけの一つというだけの事だが、しなければ弱い子はあまねくデタラメになっていくし、行えば確実に乱れを抑えられる。つまりしない理由がない。

脳が心をつくり、心が行動をつくり、その行動によってたしかな学術を活かすことができる。この一連の流れを正しく科学し、これからも現場に尽くしたいと思う。

かなりの長文となってしまったが、いつも以上に重要なテーマであるので区切らず一気に掲載した。どうかご容赦いただきたい。

(了)

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この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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