バスケットボールはセットかフリーか【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
わりと最近、といっても昨年末ころだと思うが、SNSでバスケットボールの攻め方の基本はセットなのかフリーなのかが議論されているのを目にした。
ある人の投稿に対して、コメント欄へ閲覧者が自由に持論を書き込み、それについてまた投稿者もしくは別の人が見解を書いていた。
おもにミニバスのコーチやそれに携わる人が、ご自身のカテゴリーについて語られているようだったが、話題の焦点はセットオフェンスとフリーオフェンスのどちらが王道なのか、であった。
私はこれにコメントを書いて参加したのではなく、いくらか文章を読むだけだったので、今回のタイトルはレポートの本筋というわけではない。
タイトルにはそう書いたが、考えたいあなたへの投げ掛けは、
「物事をつねに正と邪に振り分けること」
このクセをもうやめにしませんか?ということだ。
いつも片方に寄る
どちらがより重要なのか、または正しいのか、大事にすべきなのか、そう言ってたえず対立構造をつくるクセが、どうやら私たちには強くあるようだ。
しかし、物事は必ず右と左なのだろうか。そしてどちらか一方を選ぶしか手段はないのだろうか。
私は、このどちらの苦悩も排除すべきと考える。
セットフェンスとフリーオフェンスは互いに睨み合っているものか?真ん中で線を引いて入れさせないようにお互い嫌い合っているのか?
いいや、そもそも対立などしていないのだ。それをなぜかイス取りゲームにしてどちらかが正解とされ、もう一方が不正解とされてしまう。
これは正当ではないし、事実でもない。
セットもフリーも同じく戦術であり、正義と悪、王道と邪道に配役することにこれっぽっちも意義を見出すことはできない。
こういったことは、私たちの生活上にいくつも存在する。
育成と勝利主義
これも比較的、スポーツにまつわるあるある話だ。論争が盛り上がるテッパンネタと言える。
その論争の中でも必ず「勝つことを目指すのは悪いことではない」と発する人がいて、賛同されることが多い。
つまり自分たちでそう認めているのに、この議論はつねに対立構造となったまま、不毛ないや抽象的な文言でモヤッとした中身にしかならない。
ちょっと失礼な言い方をすればくだらない議論でもあり、そもそも無理のある二択なのだ。
本当は、漸進的進歩的に考えるのなら、育成ただひとつを見てそれを議論することが必要であり、勝利主義についてもまた同じことが言える。
たとえば勝利主義が断罪されたからといって、育成が王道で唯一の正解となるのは矛盾している。またもし育成が批判されたら「勝利主義でスポーツが染められる!」と心配するのは、取り越し苦労というものだ。
考え方の勝ち負けを決めようとする悪いクセを治すべきだし、またこれが正解と決めきって社会をひとつの方針や基準に縛り、皆の行動を固定しようとするのはもっと悪いクセである。
私はどう対処しているか
こういったものは世の中にたくさんある。あなたも生活をしていて、いまは無くとも社会に出て行くようになれば、間違いなく物事を右か左に分ける空気にすっぽり包まれるだろう。
日本人はこういった性格が強い、そうおっしゃる方もいる。
ではどうすれば良いか。
無論、私があなたの決め方に口を出す立場ではないので、私自身の決心だけ言うと、はじめから矛盾した二択の言い合いから離れるようにしている。
タイトルに書いたオフェンスの有り無しは偶然、目にしてしまったが、基本的にはそういった対極で物事を考えることはしたくないので、勝ち負けを決めたい人は好きにそうされたら良いが、物事は決して二択ではなくそれぞれ良き面があると思っているし、繋がった部分も必ずあるはずなので、私はもっと別の現実的な視点で問題課題を紐解く努力をしている。
自分を貫くことも簡単なことではない。しかしあらゆる事象を白黒に塗ろうとするのもまた、人生を狭める悪しき性格だと考える。
どうぞあなたにおいてはもっと広く自由な視野と感性で、意見は違っても存在を尊重する謙虚さを忘れずにいてほしいと願う。
(了)
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