スペインピック&ロールを巡る攻防5~女子アジアカップ日本vsオーストラリア戦より~

オフェンス戦術 スキルアップ 動画 片岡 秀一

女子アジアカップ準決勝、日本対オーストラリア戦を題材として5記事目となります。引き続き、スペインピック&ロールの攻防を取り上げます。

女子日本代表チームは、ゲームモデルという考えに基づき各局面を明瞭に整理し、その上で各選手の瞬時の判断を大切にされています。

このように特定の局面を取り出して、プレーの一つ一つを解説することだけでは女子代表チームの取り組みを把握するには十分ではありません。

しかし、まずはコート上の現象や攻防の詳細を把握することは、有益であるはずです。

今回は、ドリブラーがペイントエリアに侵入したのち、スペインピック&ロールに直接的に関わらなかった4人目以降の攻防が鍵となります。

1.プレーの構図

2.プレーの流れ

図のように、トップの位置で#23山本麻衣選手と#3馬瓜ステファニー選手とが、スペインピック&ロールのポジションをセットします。
後方には、3Pシュートを得意とする#99オコエ 桃仁花選手がスタンバイしています。。

X1に対し、#3馬瓜ステファニー選手がスクリーンをセットします。
#23山本選手がスクリーンを使用すると、X4がボールマンを止めようと守ってきました。
X1は、スクリナーの上を通って、ボールを追いかけます。

この場面で、X4に対してスクリーンを用意していた#99オコエ選手はトップの位置へと移動します。
X1はボールマンを追いかけるのをやめて5をマーク。
ボールマンはX4がマークする形になりました。
しかし、X5もボールマンに対して反応し、守ろうとしています。

つまり、最初のスクリナーである4のマークが希薄になりました。
その結果、4とゴールとを結ぶラインに誰もいなくなりました。
X3は、それに気が付いたからか、4を守るべくポジションとビジョンを変えます。

その瞬間を見逃さずに、#23山本選手はコーナーへ鋭いパスを通しました。
シュートは外れましたが、フリーの状況で3Pシュートを放つことが出来ました。

3.まとめ

構図としては、上記のような流れとなります。
プレーとしてはシンプルですが、各局面での選手の状況判断は非常に高度です。

もし、最後の局面でX3がコーナーの選手を強調して守れば、山本選手は#3馬瓜ステファニー選手に華麗なパスを通せたことが予想されます。

また、もしX3がさらに勢いよくクローズアウトで守ろうとすれば、3Pシュートではなくドライブを選択したはずです。
このような判断を可能とする背景こそ、女子代表チームのス素晴らしいパフォーマンスの秘訣なのかもしれません。

本稿では、その背景や真相について分析することは出来ません。

しかし、プレーの流れや各局面での選択肢を通じ、少しでも読者の方のお役に立てているのであれば嬉しく思います。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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