ピック&ロールからの合わせ~「チェコ対リトアニア」より~
引き続き、近年のチェコ代表男子チームの戦いを考察していきます。
まず、チェコの男子代表チームは国際部隊の中でも注目を集めている存在であることに触れさせてください。
東京五輪前に、FIBAの特集記事「The spring of basketball: Czech Republic not just an ice hockey country anymore」では、リオ五輪予選での躍進や2019年ワールドカップでの上位入賞についても触れられています。
記事を通じて語られているのは、今回の躍進も決して一過性のものではない、という事です。
長い年月の中で挑戦を続け、体制を整えた過程の先に、近年の好成績が存在することが紹介されています。
前回記事では、『3人目、4人目以降のディフェンスのタスクを複雑化』させた結果、オフェンス側が掴み取ることが出来た良質なシュートチャンスについて紹介をしてきました。
本記事では、シンプルなケースに戻ります。コーナーの選手にボールが通ったケースを紹介します。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
サイドでのピック&ロールに対し、リトアニア代表はスイッチで対応します。
チェコ代表は、ミスマッチをアタックする発想に切り替えます。
インサイドは、リトアニアのディフェンス選手が必死にポストアップを防ぐべく、身体を張って守ります。
チェコのガードは、ミドルラインにドライブを仕掛けます。
図のチェコのインサイド5は、ショートコーナーの位置から3Pラインの外側へ拡がろうと動きます。
次の瞬間、ガードのドライブに対しX5の選手が対応します。
5は、自分のマークマンであるX5が目線を切ったことに気が付きます。
一瞬のスキを突く形で、ゴール下に飛び込みます。
X5としては、コーナーに自分のマークマンがいるはずであると自覚していました。
ゴール下へと飛び込んだ動きを認識しておらず、パスが通った瞬間には間に合いませんでした。
3、まとめ
この場面で、図の3はキープしております。
自分のマークマンであるX3の選手が目線を切らずに、自分のことを視野に収める位置にいることも影響しているでしょう。
同時に、ドリブラーにとってはドライブをする距離やスペースが存在することを意味します。
その為、無理に飛び込まずにスペースを確保します。
もし、X3がドリブルに対してヘルプに寄れば、キックアウトのパスを受け取りやすい位置を狙っていたことでしょう。
この攻防を分析する際、序盤のピック&ロールの攻防を改めて考察しましょう。
スイッチをしたリトアニアチームのX2は、4とのマッチアップになります。
ここで、サイズのミスマッチの影響を最小限に留めるべく、マークが入れ替わった瞬間に次の攻防に移行します。
低い姿勢を取り、チェコ代表の4がインサイドに侵入しないように必死に戦っています。
この一瞬の隙もない攻防や、不利を自覚した上でのディフェンス戦術遂行の徹底が、バスケットボールという競技で勝利を掴むためには重要になるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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