チェコ代表チームのオフェンス戦術~FIBA-OQT決勝より「チェコ対ギリシャ」10~

オフェンス戦術 スキルアップ 動画 戦術 片岡 秀一

引き続き、近年のチェコ代表男子チームの戦いを考察していきます。

最近では、アジアカップで5連覇を成し遂げた日本女子代表チームもドライブインに合わせた巧みなカッティングを武器としています。

鋭いドライブをした宮崎早織からオコエ桃仁花選手へ華麗なパスを見た方も多いのではないでしょうか。

また東京五輪でも、町田瑠唯選手のドライブに合わせ、赤穂ひまわり選手や高田真希選手がカッティングをし、ゴール下での得点シーンが何度もあり、日本代表チームを勢いづけました。

カッティングの効用に対し、改めて言語化を試みます。

例えば、ピック&ロールに対するディフェンスの攻防であれば、3人目、4人目以降のディフェンスのタスクを複雑化する意味合いがあるといえるでしょう。

「ボールマンをケアし、自分のマークに戻る」というだけでは、守り切れないケースがカッティングによって発生しています。

今回は、上記を念頭に下記の動画を考察していきます。

1、プレーの構図

ピック&ロールからのカッティングプレー

2、流れ

  1. トランジションオフェンスの流れからトップの位置でインサイドがボールを受ける。
  2. ウィング選手同士でスクリーンをしてトップの位置でピック&ロールがスタート。
  3. ドリブラーの進行方向には2名のオフェンスプレイヤーがいる。

X3の選手が、ドリブラーの進行を防ごうとボールマンに意識と目線を向け、3番を見失っています。

同時に、そもそものピック&ロールの影響によってロールの選手にもパスコースができ、X4の選手がヘルプに向かいます。

それを見抜き、チェコ代表のエースである①(#8サトランスキー)は、画面手前方向の4にパスを出します。

見事にクローズアウトの局面となり、シュートまで結び付けました。

もしX4がヘルプをしなければ、ロールをした5にパスが通っていたことでしょう。

非常にオーソドックスなピック&ロールの構造ですが、仮にここにパスが通らずともX3が目線を切ってしまっていたでしょう。

自由に浮遊をしている3の存在により、ディフェンスにとっては予測しにくいプレーとなりました。

3、まとめ

オフェンスとしては、よくあるプレーになりました。

X3の選手が自分のマークを見失っていることで、様々なチャンスが発生する可能性を感じます。

下図のようにX2の選手が3をバンプした場合、2がノーマークになります。

ピック&ロールからのその他の展開

また、4に対してX4のクローズアウトが間に合った場合、3がコーナーに走り抜け、エクストラパスでノーマークになることが予想されます。

もちろん、5へのパスコースを潰しながらの対応は困難なため、タイミングとしては難しいです。

しかしX3が目線を切り、3の責任が曖昧になっていることがポイントです。

数的有利であれば、X4がどんなに頑張ったとしても3を守ることは難しいです。

ピック&ロールからのエキストラパス
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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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