【梅原トレーナーのからだづくり哲学】練習の上達は脳でつくられる(下)

スキルアップ トレーニング マインド(脳) 梅原 淳

(参考)【梅原トレーナーのからだづくり哲学】練習の上達は脳でつくられる(上) 【梅原トレーナーのからだづくり哲学】練習の上達は脳でつくられる(中)

頑張っているようで具体的な行動はない、その無自覚なテキトー練習をどうやって変えるのか。

大雑把、テキトー、大体で練習をそつなく済ませることが当たり前になっている選手やチームは、日本の多数と言っても良い。

自分の順番をこなすこと、練習を終わらせること、決まったノルマを片付けることが、あなたの部活動になっていませんか?

明確に「自分はいま○○を練習している」と言える人だけが、その○○の部分をたしかに上達させることができて、その繰り返しによって全体としてスポーツ・パフォーマンス、運動技量を伸ばしていくのだ。

上手くならない練習は、練習ではない。

體から脳へのフィードバック

唯一肝心な要素は、本人が強く強くどこまでも強烈に意識的行動をすることである。

高くジャンプするためには、しゃがみ方はこう、足の置き方はこう、太ももの上げ方はこう、力の入れ方はこうと、體の感覚を探ることに尽きる。

これは聞くだけなら誰でも当然だと頷くだろうが、実際の練習ではそこへの意識などほとんど無いに等しい。

これは想像で言っているのではなく、私が全国の現場を回ってこの目で見ているごく客観的な現実だ。

運動感覚の奥深さをまるで軽視し、気にも留めていない選手は多い。それを説明して納得してもらえると思っている人がいて、理論一点ですべてを語ろうとしているが、現場をまったく理解できていない。

いくら説明しても、理論立てても、分かりやすく解いても、それと本人の脳が眠っていることは関係がない。

情報の問題ではないということだ。

大事なことは、本人に吸収しよう探ろうとする脳の働きかけがあるかないかであり、アンテナを立てていれば敏感になっているし、それが無ければ鈍感で何をどう練習しても上達への蓄えは得られていない。

つまり體を動かした結果を脳へフィードバックしていないので(情報収集)、そこを稼働させる手立てが必要なのである。

創作意欲のある人は脳が活発

いったい何のためにいま、このきつい練習を頑張っているのかをきちんと認識できている人は、おそらく少ない。

選手にそれを問うても、なんとも抽象的な模範解答が返ってくる。ようは誤魔化しているわけだ。

これは長年の習慣化であり、練習をノルマで構成するとこうなってしまう。練習は本来、図工の授業のような創作であることが望ましい。

図工や美術、技術、家庭科などの授業を思い出してほしい。実践が主体ではなかっただろうか。先生からいくらかの知識や方法を話してもらうが、それだけで充分な理解はできておらず、それでもすぐに実習が始まる。

自分でやってみて、とにかく作品を創るのである。このとき確実に脳は活性化している。一人の空間だからだ。自分の世界に入ることができる。

ではスポーツではどうか。

個人種目はそれに似た環境がある。団体種目にはそれがない。個人種目であっても、部活動の多くは団体で活動している分において練習は一人ではない。練習の時間、内容、量といった全体ノルマが決められているからだ。

だから「創作意欲」というアプローチは、現実的に難度が高い。

突如嵐を起こす

では現実的な方法として、スイッチオフの脳をどうやって起動させるか。

必要な要素とは、シンプルに「刺激」である。考えないし探らない習慣になっている人は言わばぬるま湯に浸かっている状態だから、熱い風呂に入ればアチチ!となる。

静かな浜辺で気持ちよく日向ぼっこをしているところに嵐を起こせば、体中に危険信号が走って一気に体毛は逆立つだろう。

なにを言っているのか具体的に説明すると、まず説明や手本などの情報はさておき選手自身の意識が慌ただしくなるように、目まぐるしく練習を展開することが有効だ。

説明と実技を短い間隔で切り替えて、動いてみたり話してみたりをして変化を激しくする。全員で一緒に行う時間と個人で行う時間をつくることも良い。それらを短い時間の中で、あれやこれやと何度も切り替えるのだ。

私はグループを2つ3つ作り、順番に実技する方法を取っている。アドバイスしつつ突然、わざとタイミングを外して交代を告げると、外で油断していたグループはその急変に半ば慌てる。

慌てることは良くないが、そのリスクを覚悟してでも脳へ電気を走らせることを選んでいる。

内容よりも環境が影響

緩急なく、波もなく、横一線の練習には電気は走らない。つまらないから、興味が湧かず目も耳も向かない。それはアンテナが立っていない状態だと考えてもらいたい。

嫌でも意識が向くようにするのなら、物語を作れば良い。映画などには観る人の気を惹くアップダウンが随所にあって、それが上手な作品ほど魅了される。

普段の練習にも物語が必要だ。それを作り出すのがコーチの仕事で、たくさんの強弱変化で「ハッ!」とさせ、さらに「んん!?」とさせよう。

意識が浅く甘く、頑張っているつもりで済ませている選手に「ヤバい」という焦りを起こさせることも、荒っぽいが有効な手段となる。

もし伝える言葉があれば、その瞬間にドンピシャで言う必要がある。たった一言を、場合によっては流れを止めてでも強く意識させるのだ。

そうやってレッスンの展開を積極的にすることで、脳がある瞬間にビビッ!と動き出し、突然にプレイが見違える。

これは一切誇張ではない、本当の本当にガラッと変わる。

不思議な現象であるが、これが生命の構造なのだろう。

あなたは必ず上達する

意欲とは、つまり脳の活動量のことを指す。

脳が情報を見つけようと電波を放っていない状態では、見た目には真面目で必死に頑張っている様子に見えても、技量は習得されていない。

それが習慣によって無自覚となり、もはや成長の起こらない無価値な頑張りをしている選手がたくさんいる。

そのことを「ここが自分の上限」と、才能というありがちな言葉で結論付けてしまう人もいるだろう。

でも本当は間違いで、自分から平均点を取りに行っている行為に他ならない。

それをぜひ、変えてほしいと強く願う。

どうぞ100点満点を目指してください。心の底から応援しています。

(了)

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この記事を書いた人:梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。