FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」イタリアのディフェンス8

スキルアップ ディフェンス戦術 戦術 片岡 秀一

前回の記事では、イタリア代表チームのディフェンス戦術に関連し、

  • 『Trust your basic team defense(自チームディフェンスの基本システムを大切にしてほしい)』
  • 『Never change a winning concept(勝利へのコンセプトを安易に変えてはならない)』

という考え方を紹介しました。

上記に関連し、今回はセルビア代表チームのATOのオフェンスに注目します。

タイムアウト明けのオフェンスに対するイタリア代表の守備を紹介します。

ATOとは、After time outの頭文字であり、文字通りタイムアウト明け後のオフェンスです。

流れを掴みたい場面で確実に加点をするため、レギュラーオフェンスとは異なるプレーを見せるケースも多いです。

そして、セルビ代表HCを務めたイゴール・ココスコフ (Igor  Kokoškov)コーチは、ATOで素晴らしいオフェンス戦術を披露する事でも著名です。

1、プレーの構図

2、流れ

セルビア代表チームがタイムアウトを要求した次のポゼッションでのプレーとなります。
前回のプレーと同様に、スタッガースクリーンからトップの位置でボールを受けます。
ただし今回は、ガード同士でハンドオフはせずに、最初のパサーは反対サイドへと流れていきます。

ボールを受けた選手は直ぐに反対サイドのウィングへとパスを展開します。
前回のプレーであれば、このポジションの選手は反対サイドのコーナーへと流れていました。
Xにとっては一瞬、虚を突かれた形になりました。

ここで、セルビア代表は積極的にベースラインヘとドライブを仕掛けます。
ペイントエリアまで侵入し、イタリア代表チームのディフェンスを引き付けることに成功しました。
そして、センターの選手がアングルやポジョションを変えてボールを受け、ゴール下でのシュートを放ちました。

3、まとめ

このプレーだけを取り出すと、非常にシンプルな1対1の攻防となりました。
が、ゲームの展開やこの少し前のプレーからの繋がりを考えた際、イタリア代表としては予測不可能な要素の多いプレーになったことでしょう。

しかし、予想が出来ないプレーであったとしても、イタリア代表は遂行すべきことを着実に遂行し、失点の確率を低くしました。

具体的には、クローズアウトからのドライブに対し、少しでもボールマンを苦しませること。
ドライブをケアしつつインサイドの合わせにも対応し、最後の最後までチェックを試みることです。

しっかりとスカウティングをしているプレーであっても、この部分が疎かであればディフェンスを成功させることは難しいはずです。

冒頭で記載した

  • 『Trust your basic team defence(自チームDFの基本システムを大切にしてほしい)』
  • 『Never change a winning concept(勝利へのコンセプトを安易に変えてはならない)』

に続き、Euro Basketball Academy coaching clinic(2018年6月)にて講師のトーステン・ロイブル氏は、具体的な方法として下記の考え方を紹介しています。

様々なディフェンス戦術を用意するだけではなく、一貫性のあるディフェンスのコンセプトの中、精度や対応能力を高めることで、様々なオフェンスへの対応能力を高めようと試みることが、チームのディフェンス能力を高める近道になるのかもしれません。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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