【片岡編集長】クォーター終盤の攻防を考える6(バスケ戦術)
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引き続き、クォーター終盤の攻防を中心に扱っています。
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➡クォーター終盤の攻防を考える5
バスケットボールでは、クォーター終盤の攻防が4回発生します。
特に1~3クォーター終盤の攻防を優位に運べば、最終クォーターに挑む段階で8-10点分を上乗せできる可能性も考えられます。
試合の勝ち負けにも大きく左右される事は言うまでもないでしょう。
引き続き、2019年に開催された男子のワールドカップより、実際の試合の事例を紹介していきます。
今回は、日本代表チームのワールドカップ最終戦、[対モンテネグロ代表]の試合を取り上げます。
この試合の最終スコアは65対80。
クォーター毎のスコアは16-26、17-14、18-21、14-19で終了。
唯一リードをした第2クォーターの終盤のプレーとなります。
先に要旨を述べると、この時間帯、男子日本代表としては手痛い失点を重ねた、悔しい時間帯となりました。
展開
残り1:17
日本31-36モンテネグロ。
日本は#12渡邊雄太選手のジャンプショットが成功。
33-36とします。
残り1:11
モンテネグロ代表ボール。
ここでPGの選手がサインをして、コールプレーをしている様子が見て取れます。
形としては、トップの位置でのピック&ロールに対し、スクリナーに対してのバックスクリーンも用意している様子です(スペインピック&ロール)。
モンテネグロ代表は、フローターショットを放ちますが外れます。
リバウンドボールを獲得し、再びオフェンスを構築。
ローポストへボールを収めようとするパスを日本代表がパスカットをし、アウトオブバウンズ。
残り49秒
モンテネグロ代表のサイドスローインでのスタートです。
広いスペーシングからピック&ロールを成功させ、見事にゴール下で加点します。
33対38点としました。(1)
残り37秒
日本代表チームのオフェンスがスタート。
日本は、比江島選手がトップの位置でピック&ロールを仕掛けるプレーを選択。
ショットクロック残り10秒で仕掛けます。
しかし、相手チームのディフェンスに阻まれ、ターンオーバーを喫します。
ランニングプレーを許し、33対40となります。(2)
残り13秒
渡邊選手が1対1を仕掛けます。
シュートは外れ、第2クォーターが終了しました。
最後の1分間の攻防を2対4で終えました。
ポイント
下線(1)の部分
セルビア代表は下図のような形でオフェンスを仕掛けました。
シンプルなプレーですが、スペーシング等が非常に整理されています。
特に、3番の選手のディフェンスがゴール下のヘルプに来ていれば、コーナーへとボールが飛んでいたであろう事が予想されます。
またHelpをしたとしても、サイズが小さい選手です。
5番ポジションの選手も3Pシュートを放てるため、安易にノーマークにするわけにもいきません。
下線(2)の場面
男子日本代表は下図のプレーを狙います。
渡邊選手と比江島選手のピック&ロールの先には、3Pシュートを得意とするファジーカス選手がいます。
迂闊に渡邊選手を守ると、ファジーカス選手をノーマークにしてしまいます。
この場面、モンテネグロ代表は比江島選手に対してプレッシャーを与えてきます。
結果としてターンオーバーとなり、ブレイクを許しました。
映像だけを見れば、プレッシャーに対してジャンプをして交わすのではなく、後方に下がりながら渡邊選手へのパスコースを確保できれば成功したのかもしれません。
比江島選手は、このような駆け引きに長け、起点としても活躍する選手です。
ディフェンスが圧力を強めてきた一瞬を狙った為にジャンプをしたと思われます。
パスが通れば、渡邊選手のチャンスは大きく拡がっていたことが予想されます。
本稿では、そこの是非は割愛します。
逆にこのような場面で、相手チームのミスを誘うようなディフェンスをチームとして武器にしていれば、クォーター終盤の攻防でチャンスを拡大する事が出来ます。
B.LEAGUEでは、宇都宮宇ブレックスや秋田ノーザンハピネッツ等が、攻撃的なディフェンスを仕掛ける事を得意としています。
オフェンスの教訓としては
- 絶対にターンオーバーをしない事
- チャンスを作る事
を両立するスキルや判断力を磨くこと。
ディフェンスとしては
- 相手のミスを誘発しつつ
- 簡単に失点しない
武器を持つ事の重要性が分かる場面といえるのではないでしょうか。
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