【梅原トレーナーのからだづくり哲学】トレーニングレポート No.86「女子選手のドライブスピードを上げる方法」
オフェンス スキルアップ ドリブル 指導法 梅原 淳 育成法
こんにちは、梅原淳です。
つい先日に、高校女子チームのトレーニングでドライブについてレッスンを行い、とても有意義な時間でしたので、このレポートでもお伝えしたいと思います。
今回の話は、「女子」というのがポイントです。
単に男子との能力差、体力的絶対値の差ということではありません。おそらく日本の女子特有であろう、クセとも言うべきものを一緒に考えてみたいと思います。
ドライブスピードを上げるために僕が何を教えたか。
それは「上げるために必要なこと」というよりも、「上がることを邪魔している素因」を見つけ、それを取り除く作業が主となります。
ドライブスピードについては、ほぼこれです。
ある特徴的な動きによって、ドライブがまったく加速できません。長く女子指導に携わるコーチだと、かえって遅いことが当たり前になり、それを感じなくなっているかもしれません。
でも実際は、本当の力よりもガクンとパフォーマンスが落ちています。
走れば結構速いのに、ドライブとなるとまるで冴えない、という選手がいないでしょうか。
ダッシュ力はあるのに、それが一番必要なプレイで発揮されないんですね。宝の持ち腐れとはこのことです。
この日の練習でも、ドライブレッスンのはじめから終わり手前までは、多くの選手が首をかしげてうまく運動感覚を掴めずにいました。
クセになっているものというのは、それくらい粘着力が強いということです。
僕がレッスンしたのは、ドリブルを真っ直ぐ真下に叩いて、鋭く一定のリズムにし、それを変えずに走るということでした。
超〜〜簡単ですよね、言葉だけなら。
いいですか、これが全然できないんです。その選手たちだけではありません。おそらくあなたも、他の多くの女子選手もできません。
なぜなら、ドリブルと走ることをマッチさせる鍛練をしたことがないからです。
ドリブルにものすごく強いクセがあり、それが走りを変えてしまいます。
ドリブルだけなら、先ほどの真っ直ぐ強く叩く方法もできるんです。できますが、これが走る動作を加えてしまうとなぜだか違うドリブルに変わってしまいます。
彼女たちには、どうやらドライブ用のドリブルがあるみたいです。ドライブするときは、そのドリブルに必ずなってしまう。それが個別の話ではなく、みんなが似たような突き方をしています。
このチームだけではなく、日本全国の女子選手みんなに広く見られるドリブルの仕方です。これがかなり強くこびり付いていて、単調な真下ドリブルでも走る際には乱れてしまいます。
今回は動画がなくて申し訳ないのですが、どうぞ言葉で色々と感じ取ってください。それもきっと良い勉強になるはずです。
試しに、立ち姿勢で真下へドリブルをしてみて、そのドリブルを崩さずに走れるかどうかチャレンジしてみてください。
ほとんどの人は、同じドリブルができないと思います。走り出すと別のドリブルに変わってしまいますよね。
ドリブルを付く場所、ドリブルの高さ、叩く強さ、リズム、それらが一定を保てるとドライブスピードは速くなります。
変えないでそのままなのですから、一番簡単な動作だと思うんですが、足の動きが入ると「ドライブ用のドリブル」にどうしてもなってしまい、そのせいで足の動きが妨げられています。
それが、多くの選手において見られると言うことです。
具体的に言うならば、まず
- ドリブルを前に突こうとする。
- 低くドリブルしようとする。
- 跳ね返ってくる前提なのでとても弱く、軽く落とす程度のドリブルになる。
- 頭を下げ腰をかがめた低い姿勢になる。
先ほどの強く真っ直ぐ直線的に叩くのとは、真逆ですね。
ドライブとなると、必ずこれらの動作になってしまうんです。
いくつか「なぜそうなるか?」を教えてあげて、1時間弱のドライブ練習の最後の最後に見事、走りを妨げずトップスピードに乗ってドリブルを継続させることに成功しました。
これまでの自分のドライブとはまるで違う動きなので、サイドライン間を3往復×3回でしたが、みんなゼーゼーハーハーしていました。
どうしてか?走るスピードが乗ったからですよね。本来のトップスピードが出たという証です。
邪魔者をどかしてはじめて、女子のドライブは鋭くなります。パフォーマンス向上の足を引っ張る何かが必ずありますから、それを取り除くことでぐっと良くなります。
またすぐ忘れてしまうので、時間を掛けて基礎をしっかり練習していきたいと思います。
(了)
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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