【梅原トレーナーのからだづくり哲学】食べ物の好き嫌いはいくらあっても良い(下)

スキルアップ トレーニング 指導法 梅原 淳 育成法

先日妻と話していたことをちょっと書いておきたい。

たぶん「好き嫌い」というものは、幼少期に親が無理に鍛えようとして、その経験を嫌った産物なのではないかと。

もしかしたらその食材が嫌いなのではなく、それを強いられたことが辛い記憶として残っているのではないか、と言うものだ。

幼い頃に食べたくなかったものが、歳を重ね大人になるにつれ無理なく食べられるようになることが、多くの人の経験上にある。

好きではないが、食べようと思えば食べられる物というのが、大人にはたくさんある。生理的に本当に受け付けないというものは、ごく一部だけである。

だからいまは食べられなくとも、いずれ大人になり食べるようになるかもしれない。好んでは食べなくとも、食べようと思えば食べられるというものは年齢が進むにつれて増えていくのだから。

あれもこれも、いま食べられるってことを強要しすぎなのである。

▼大人だって食べていない

だいたい子どもにはそれを強いておいて、当の大人はどうか。

自分の好きなものしか食べていない。

これは体に良く健康になれるからちゃんと食べよう、なんて日頃から心掛けている人なんて、どれほどいるというのか。

もしそうならば、こんなに病気がちな現代になどなっていないし、生活習慣病などという不可思議な言葉も生まれていない。

30代でメタボなどと言われて、ちょっと動くとゼーゼーハーハーする大人のどこに好き嫌いのない健康的な食生活が見えるだろうか。

大人こそ、好き嫌いを一番しているとそれらの現実が証明している。

確実に幼少期から少年期15歳くらいまでが、世の中のあらゆる食べ物を口にしている時期である。

幼い子どもだけが、好きでもないものを無理矢理に食べさせられているのだ。

▼先人たちのほうがはるかに漲っていた

半分事実で半分個人的な見解を言えば、いまや世界に存在する数多の野菜や果物などが身近にある。

こんな時代になったから当たり前に有るのであって、だからといってそれらをなんでも食べられないとどうにかなるのだろうか。

では戦前、明治期、お侍さんの時代、もっと昔、その時代には今のものは手に入らなかったし、存在すら庶民は知らなかった。それで日本人は体がひ弱だったのか。

いや逆だ。

現代人などお呼びもしないほど体力・気力があった。史実や書記などを漁れば分かる。今では信じられないような人間離れした芸当をやってのけた。

冷静になって考えるべきことは、この世に存在するあらゆる食物を食べないと何か体に災いする、なんてことは一切ない。

それをもっと一般生活にしぼって見てみれば、ピーマンやトマトが食べられない、牛乳が嫌い、椎茸がだめ、グリンピースが・・・・そんなものがいくつあったところで、何も問題などないということだ。

生き物であるのだから、のどを通らないものはいくらでもある。好き嫌いは絶対に存在するものなのだ。

▼脳のセンサーで食べ分けている

身に迫る危険や困難でもないかぎり、嫌いなら食べなくて良い。

もっと正しく言えば、大人の好き嫌いと子の好き嫌いはまるで違う。

とくに離乳食の期間が終わって普通の食事を食べるようになった頃、おそらく1歳前後のあたりから数年間は、純粋に口に入れた物の感触と味で可否を分けている。

行動としては嫌っているということになるが、本当は体が食べるなと反応しているのかもしれない。おおかたは苦い物と辛い物、つまり痛さ辛さに繋がる刺激のものは拒否するよう脳が働く。

また粒の細かいもの、我が子だけの話で言うとモサモサとした食感も嫌がる傾向にある。たとえばジャガイモ、リンゴ、梨、あと柑橘でも果肉は何か変だと思っているようだ。

間違った物を口に入れないように離乳食後あたりからしっかりセンサーが働くようになっていって、それが混同してしまっているだけのようにも見える。

科学的にそれが正しいかどうかは分からないが、幼い子は大人ほど好みにうるさくはない。食べられると感じた物は食べるのだから、正確には好き嫌いとは言わない。

大人のしているのが本当の好き嫌いである。

▼いま食べられなくても良い

子どもの好き嫌いの問題は、人間の永遠なる課題だと思う。付きまとうと言ったほうが適切かもしれない。

私の書いたことが解決になるとは微塵も思わないが、こうして何かの道をつけるべくみんなで色々と考えていくことが必要ではないだろうか。

なんとなく「子どもの好き嫌い」という固定したワードによって、なんでも食べなくてはいけない、好き嫌いのない子に育てることが良い、と決めつけることはできるなら避けてほしい。

それは子のためにならず、親のためにもならず、家族のためにも良いことではない。不合理なことを悩み苦しみながらするなんて、誰が幸せになるというのか。

ぜひ我が子の好きな物を幸せそうに食べる姿を眺めながら、ニコニコ笑ってほしいと思う。

(了)

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