【梅原トレーナーのからだづくり哲学】トレーニングがプレイに繋がらないという悩み
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よく「うちはトレーニングをしているのにコートで全然成果が出ない」と言われるコーチの方がいます。
例えばスピーディさ、コンタクト、ディフェンスなどについてです。
足が遅い、スタミナがない、すぐぶつかって倒される、ディフェンスの足が動かないと言って、それを克服するため體を鍛えているのにも関わらず、それがパフォーマンスに発揮されないと言うのです。
たくさん走っているし、バーベル担いで足腰鍛えているのに、いっこうにコートでは弱々しいままだと嘆くコーチが少なからずいます。
重々理解し共感した上で、このお悩みについて、一つだけ、僭越ながら助言を致します。
見落としてはいけないこと、それは「すべては最後に技術となる」ということです。
どうすればトレーニングがプレイに繋がるのか
トレーニングをしただけでは、コートの中は変わりません。
いくら體が強くなろうが、それをバスケットボールのプレイにおいて活用する能力を持たなくては、そこの接続が無ければ一生、宝の持ち腐れです。
プレイヤーは體を使って走り、跳び、投げ、ぶつかります。
そこには運動技能だけがあり、自らの持つ體の特徴や能力をいかにうまく活用できるかに懸かっています。
つまり活かすこと、それは本人のプレイへの発展性です。感性です。
身に備えた技能をどのように利用するか、未知なるパフォーマンスへの挑戦と発見が必要なのです。
そこを見落としている選手、コーチ、チームでは、努力が報われない日々が延々と続くことになります。
しかし一方で、このトレーニングのおかげで最近随分プレイが良くなったという報告も聞きます。
この二つをどう捉えれば良いでしょうか。
まず申し上げたように、トレーニングをすればプレイが自然と高度になる、というのは幻想です。走ろうとしない選手がトレーニングで筋力がついたからといって、ゲームでよく走るようになるでしょうか。
筋肉むきむきになっても、體をぶつけるのが嫌いな選手はコンタクトを避けます。
体力づくりとプレイがリンクしていないのです。これは男性よりも女性スポーツで顕著です。
ですからトレーニングと共に、練習を変えなくてはいけません。トレーニングのおかげですごく変わったというケースは、日頃からさらなる運動能力を求めてプレイのレベルアップを図っているからです。
ブレイク(速攻)を武器にしたいのならば、その練習をすることです。
リバウンドを取ってからシュートに持っていくまでの運び方を考え、そのスピードやテンポを知ることが必要です。それは肌で感じ取る「感覚」の部分を刺激します。
それを経験することで、選手もコーチも「ブレイクってこういう感じなんだ」と身を以て理解することになります。これまで位置づけていたブレイクへの価値観、スピードというものに対する感覚が変わることで、新しいパフォーマンスが生まれます。
コンタクトも同じです。體をムキムキに鍛えているのに当たりが弱い、すぐ転ぶ、そういう話をしばしば聞きます。コーチは単純に「まだまだ鍛え方が足りない、筋力が足らない」と言いますが、コンタクトは筋力ではなく技術です。
さらに體をぶつけることが苦手で嫌がる人もいるでしょう。
逃げるようにばかりプレイしてきた選手は、肉体的にプレイすることを知りません。また「體を当てる」とはそもそもどのようなことなのか、それが分からない選手もいるでしょう。女性プレイヤーに多いと思います。
すべて実体験があるかないかです。それはトレーニングだけして身につけても、コートでは発揮されません。
それはそれ、これはこれと認識するからです。
ジャンプ・トレーニングをしても、リバウンドがまるで弱いチームもあります。
それはリバウンドを取ることを課題にして特訓しないからです。
コーチからでも選手自身でも、求めなければ大事にはしませんね。
まずそのプレイを強くしようと練習するからこそ、弱いものが強化・上達するのだし、その上で運動能力を向上させることに価値が生まれます。
おさらいをしておきましょう。
- 筋トレをしてもコンタクトは強くなりません。體を当てる技術練習をしましょう。體はぶつかるものだという認識、慣れが必要です。
- ジャンプ力が上がってもリバウンドは強くなりません。リバウンド数を増やす目標を立ててその特訓をしましょう。まず死に物狂いでルーズボールを掴もうとする「気」「意思」がなければ、ジャンプ力は無価値です。
- 走れる足があってもブレイクが出るわけではありません。オールコートであたるDFも同様です。感覚を持っていないと、実際にスピードやテンポは上がりません。肌で感じることが一番です。
- フットワークに力を入れたことでDF等の足運びがよくなるとは限りません。プレイの中で直接練習しなければ、ディフェンスにせよオフェンスにせよゆるい動きが続くでしょう。毎日フットワークに時間を掛けても、なぜかコートでは脚は重いままです。
以前からよく相談されるものをいくつか出してみました。
聞けばあたりまえの事ですが、確実に盲点であるところでもあります。
これからのご自身の鍛練に、どうぞ活かされてください。
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