WINTER CUP 2021での快挙の裏付け(上)☆速報レポート【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
今冬に開催されたウィンターカップ2021、この全国高等学校バスケットボール選手権大会で、私のお手伝いしているチームが全国ベスト8まで勝ち上がりました。
これはチーム史において、もっとも優秀な記録です。
これまで何度も全国大会へ出場していますが、近年は県内に強豪校がつくられたことで、たった一枠の出場権を勝ち取ることはできなくなりました。
それでも今回、県大会で1位をもぎ取って、この全国の舞台でも史上最高位まで勝ち上がることができたのは、いったいどんなミラクルがあったのでしょうか。
県2位から突如全国ベスト8
私が彼らの話について書き、読者のあなたに読んでもらおうと考えた理由は、まさか自慢するためでも、褒めちぎるためでもありません。
私のレポートでも題材にしたことがあり、競技力向上に活きた情報としてお伝えできるものがあるからに他なりません。
このチームは県内順位で2番もしくはときに3番でした。昨年も一昨年も、その前もずっとこの10年ほどはバスケットボールエリート校の創設によって、ベスト4に留まっています。
実際に今年度のインターハイ県予選でも、決勝であまり良いところ無く敗れています。
そんな力の差が歴然としていて、どうして今回のような大躍進ができたのかと客観的に考えると、脳でつくられるスケールの話が必然と浮かびます。
なぜなら相手が不出場もしくは大幅な戦力ダウンのないかぎり、真に実力のある者を負かすことなど絶対にできないからです。
つまりそう、彼らは勝てる力を本当は持っていたのです。
鍛えるよりまずは
私は以前ここで、イメージとかスケールについて何度か記したことがあります。
人はイメージだけでうまくなる(前編)
人はイメージだけでうまくなる(後編)
どんなに頑張って練習しても、自分の意識の外で固定されている運動の感覚を破らないと、延々とそのレベルの中でプレイすることになり、たとえば上手な人たちとプレイすればなぜか上達が早く、下手な人たちの中に混ざればこれもなぜだか下手になっていくことが実際に起こるというひとつの例があります。
私たちは脳にインプットしたものに近づいていくメカニズムがあるのです。
高く跳ぼうと思えば、スクワットをして筋力を上げることはもちろん有効ですが、第一に手で触ろうとする場所を変えて、いま届く位置よりも少し高いところを触ろうとすることで目標値が上がります。
なにをつくったり考えたりしなくても、届かないその位置に指を振れようとプレイのスケールを変えることで、そこに向かってからだが自然と適応していくのです。
ただそれだけで、毎日ピョンピョン跳ねていると不思議なことに段々と指先が伸びていって、そう遠くない未来に触れるようになります。
これは触る場所が高くなったなりに、からだが自然と動きを工夫するからです。力の入れ方、腕の伸ばし方、いろんなタイミング、助走のつけ方、そういった必要な材料が自然と変わっていくのです。
目標の位置を変えなければ、理屈でどうこう理解しトレーニングしてもある段階で止まります。
つまり「誰でもこのくらいはできるだろう」という程度ならば鍛えるだけで伸びますが、その先の高いレベルを目指すときには固定したスケール感を変えていく必要があるのです。
ハードワークはお手の物でも
手前味噌などでは一切なく、彼らは練習も筋トレも本当に頑張っていて、私が教えている選手らのなかでもその成長はトップクラスです。
もちろん今回ベストの成績となった現役選手らだけではありません。これまでの先輩もみな、一所懸命に努力し必死にやっていました。
そんな歴代でも感心するところの多いチームですが、戦績は頭打ちになっていました。どれだけ鍛えても試練に耐えても、いまのパフォーマンスから抜け出せないのです。
本人の脳がそのように決めているからです。
次回に続けます。
(つづく)
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