【梅原トレーナーのからだづくり哲学】人はイメージだけでうまくなる(後編)
スキルアップ チーム作り トレーニング メンタル(心) 指導法 梅原 淳 育成法
参照:【梅原トレーナーのからだづくり哲学】人はイメージだけでうまくなる(前編)
前回にお話した超超超ものすご〜く頑張っている選手たち。その子たちはどうして努力して身につけてきたその実力を、本番の試合で発揮できないのか。
それは脳のイメージにある、と言いました。
本当は肉体的に習得しているのは7の力であっても、脳が8のレベルのプレイを知っていると8で表現できてしまうことがあります。
ちょっと誤解が生まれないように補足しますね。
多くの場合、パフォーマンスの出来を左右するのは体よりも脳の状態にあります。
疑いなく「できる」と信じ込んでいる人は、実力以上のパフォーマンスを発揮することができて、反対に力はあっても「なんとか頑張ろう」と苦しそうな人は、体が萎縮してしまうことがよくあります。
これは誰でも少なからず経験があると思います。
自分へのイメージが低いと、それが作用してどれだけ頑張っても気合い入れても、プレイが縮こまってしまうのです。
▼なぜ勝ち上がれないのか
スポーツは対戦型である場合が多いと思います。技量と技量のぶつかり合いですが、見えない部分では相手の影響よりも自分の力をどこまで発揮できたかに結果が左右されます。
つまり自分で自分にブレーキを掛けている人がいれば、より強くアクセルを踏めている人もいて、バスケットボールでもここの差が勝負に大きく影響しています。
私の応援する選手たちに、あるときこのような趣旨の質問をしました。
「自分たちはどこまでうまくプレイできると思っているか?」
「自分はできる、自分はすごい、もっと伸びると思っているか?」
一番身長の高いエースは首を横に振りました。これはつまり、あまり自信を持っていないという表現です。他の人も皆同じでした。
こんなに頑張っているのに、勝てる自信とかプラスな思考は持てていないのです。
▼錯覚こそ可能性
私はこれ以上、肉体的な負荷を掛けることだけで力を引き上げるのは現実的に難しいだろうと、そう思っています。
もちろん努力の度合いを上げられる余地もまだあるはずですが、それよりも強く影響している低い自分へのイメージを変えることが最優先だろうと考えました。
イメージが低ければその素晴らしい努力も空回りして、苦しいだけで終わってしまいます。辛い練習やトレーニングを積極的に行うこともできません。
何事もできると思えるからこそ頑張れるものです。その頑張りこそが本当の実りとなります。
自分はできる、もっと言えば「もうすでにできている」くらいの自己への位置づけがさらなる成長と結果を後押しします。これは実際には錯覚なのですが、それこそが可能性を広げるファクターに他なりません。
本番で最大の力を発揮する人たちは、あっけらかんとして「勝てる」「こんなプレイができる」という思い込みを実行してしまうのです。
▼自分のイメージが勝負に活きる
我々が負けてしまったときも、対戦相手側のイメージが高かったかどうかは正直言って分かりません。向こうだって本当は余裕がなく、とにかく必死だったのかもしれません。
でも少なからず、自分たちには「できる」というイメージがあったのか無かったのか、そこだけは分かるはずです。
私たちは普段の学校や仕事、習い事、家族や知友との付き合いにおいて、頭と体を使う努力に加えて自らのセルフイメージを育てる自己教育を、じつは行っています。
このメルマガを読まれているあなたは賢明な方ですので、この話を聞いて昨今よく耳にする「自己肯定感」という言葉を思い浮かべたのではないでしょうか。
まさに「できる」の思い込み・錯覚は自己肯定感であり、セルフイメージもモチベーションもサイキングアップなどという言葉もすべて同じ、今このレポートで話している事とひとつも違いません。
気分を高めることも、機嫌を自分でつくることも、できる!と己を鼓舞することもすべて根っこにあるのは自己を勇気づけて認めて肯定する思考だと、これは個人の意見としてそう思います。
怠けて努力していなさそうに見える選手・チームが、試合で冴えたプレイで躍動するのも、それに基づく心の余裕と安定があるからではないでしょうか。
▼できる前にできると先に思い込む
もし多くを犠牲にして部活動一色で毎日を過ごしても、キツい修練に耐え抜いても、普段から心を窮屈にしていると自分を「出来の良い人間だ」と錯覚させることができません。
力が伴っていないのにできる人間だと思えるはずがない、と日本人ならみんな考えるでしょう。でもそうすると脳が位置づけを低くし、せっかく鍛えた技量が萎縮してしまいます。
日本人の教育には馴染まないかもしれませんが、脳と体の仕組みのままに「自分なら当然できる」「もっと伸ばせる」「優秀である」「誰かの役に立っている」と、自分を位置づけることを先に行うのです。
それは傲慢とは違うものであって、ツケあがるためではなく、心を安定させるためにこそ自己肯定が必要です。
▼ゴリの信念
心のスペースは、本質的には自分にしか作れません。他人や環境の助けは小さくないですが、根本には自助の力しかありません。
どんな環境におかれても、自分の意思を中心にして、他人が押し付けるものに流されたり思わされることなく、自分で自分を褒めまた火をつけて自己成長していくあなたであってもらいたいと、心から願います。
最後に、バスケットボール選手いやスポーツ選手なら誰でも知っているあの名作から、最高のお手本を紹介して終わりに致します。
「オレたちは強い」赤木剛憲(SLAMDUNK 9巻 #77より)
本レポートで語った内容を、たった一言で表現してくれている素晴らしい言葉です。
(了)
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