スペインピック&ロールを巡る攻防3~日本vsオーストラリア戦より~
女子アジアカップ準決勝、日本vsオーストラリア戦を題材として3記事目となります。
引き続きスペインピック&ロールの攻防を取り上げます。
スペインピック&ロールを巡る攻防1~日本vsオーストラリア戦より~ スペインピック&ロールを巡る攻防2~日本vsオーストラリア戦より~
オーストラリア代表は、どのように守ろうとしたのか。
そして、日本女子代表はどのように攻めたのか。
攻防の深淵の一部を紹介できるように試みたいと思います。
本記事は、試合を時系列で紹介しています。
今回は、第1クォーターのラスト20秒付近の攻防となります。
1.プレーの構図
2.プレーの流れ
ピリオドの終盤のプレーです。
トップの位置で#21永田萌絵選手がボールをキープ。
勝負を仕掛ける準備をし、#41根本葉瑠乃選手がと#18西岡里紗選手のマークマンX5にスクリーンをセットします。
#18西岡選手は、そのままボールマンヘスクリーンをセットしようと試みます。
意図としては、スクリナーに向かう選手をフリーにし、ボールスクリーンの局面で数的優位を作ろうとするはずです。ラムスクリーン等と呼ばれています。
ここでオーストラリアは、最初のラムスクリーンに対しスイッチをします。
そして、実際のボールスクリーンの局面でもスイッチをしました。
本来であれば、「日本のポイントガード vsオーストラリアのインサイド」という構図になります。
しかしスイッチをした結果、「ポイントガードvsフォワード」という構図になりました。
そこまでスピードに差がないマッチアップになります。
そして、ドリブラーと反対方向の3Pエリアに飛び出た#41根本葉瑠乃選手にもX1がマークします。
ここもアウトサイド対アウトサイドのマッチアップとなりました。
最終的にドリブルから3Pシュートを放ちますが、成功することは出来ませんでした。
3.まとめ
相手チームに対応された結果、シュートが成功しませんでした。
また、クローズアウトのシチュエーションや、サイズかスピードのミスマッチを作ることにも失敗しました。
このような場面はハイライトシーン等では活用されませんが、両チームの攻防が存在する素晴らしい場面だと思います。
では、この場面どのような攻防があったでしょうか。
日本人選手の特徴と、体格に勝るオーストラリア選手の特徴を鑑みる必要性はありますが、対峙している選手同士のポジションだけを見ると、5とX3とでミスマッチでもあります。
ラムスクリーンに対しスイッチに気付いた時点で、ポストアップの攻防にするのも面白いかもしれません。
また、3番の選手が、図のような方向に飛び出ても面白いかもしれません。
X1にとってはクローズアウトの距離が長くなります。
また、局地的に黄色の塗りつぶしエリアで2対1の状況が出来上がります。
もちろんスペースもある為、①から5へのパスも考えられます。
ディフェンスの対応に対し、咄嗟にポジショニングを判断するのは非常に難しいことです。
近年、スペインピック&ロールに対する攻防は様々な発展を遂げています。
こちらは、最後のスクリナーに対しスクリーンをセットしてノーマークにしようとするプレーです。
Spain Flare- Tenerife
Nice wrinkle to Spain action… Notice the baseline cut to empty out the weakside pic.twitter.com/xXl75E4mV4
— Tucker & Thorson Basketball (@tucker_thorson) November 30, 2021
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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