セットオフェンス~上手くボールが回らない「チェコvsリトアニア」より~
引き続き、近年のチェコ代表男子チームの戦いを考察していきます。
前回記事では、『3人目、4人目以降のDFのタスクを複雑化』させた結果、ゴール下でノーマークになったシュート事例を紹介しました。
今回は、最終的にシュートとしては決まったものの、綺麗にボールが回らなかったケースを題材とします。
ディフェンスの状況、
オフェンスのスペーシングを分析した上で、
- どのようにオフェンス側が動けばチャンスが拡大したのか
- ディフェンス選手はどのような駆け引きをしていたのか
を探っていきたいと思います。
また今回は、核となるプレーの前に非常に美しくデザインされたオフェンスが準備されておりました。そちらについても本記事で紹介することを試みます。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
スタッガースクリーンを連続的に用いてウィングの選手に優位な状態でボールを受けさせようと試みます。
2は、一度ボールを受けますがすぐに1にボールを渡し、反対サイドに駆け抜けていきます。
3に対し、4がスクリーンをセットします。
反対サイドでは、2に対し5がスクリーンをセットしています。
リトアニア代表は見事な対応を見せ、オフボールスクリーンに対して隙を作りません。
その後、サイド位置でのピック&ロールへと移行します。
スクリーンの向きはサイドライン側(Step up Screen)であり、スクリナーのディフェンスは下がっています。ドリブラーは、中央付近に進行方向を変えてリングへ向かいます。
X4が自分を認識していないことに気付いた4は、ゴール下までカットします。
しかし、X1のディフェンスが効いていたのか、そこにパスを出す余裕はありませんでした。
その後、ボールはコーナー付近にいる3を目掛けてパスされますが、パスコースが乱れました。
最終的にシュートは決まりましたが、ディフェンスに正対した状態で1対1を仕掛けた結果のシュートのため、良いチャンスには繋がりませんでした。
3、まとめ
まずは、ドリブラーがリングの近くまで侵入することが重要です。
2がさらにゴール下まで侵入した場合、2つの選択肢がありました。
- 自分でシュートをすること
- 4へのパス
です。ここでは、X1のディフェンスが効果的に効いていました。
また、下図を参照にそのほかの可能性を探ってみます。
ここで、X3の目線や位置に着目してみましょう。
非常に深く下がり、自分のマークマンとボールの様子をよく見ています。
ここで3がコーナーに下がった場合、クローズアウトの距離が少しだけ長くなります。
個人的な分析としては、コーナーへパスをした2のパサー選手の発想のほうが合理的ではないかと感じています。
上記のように、コーナーにいる選手のゴール下へのカットと、ウィングの選手がコーナーに拡がることはセットとして捉えるとディフェンス選手が対応しなくてはならないエリアが広くなります。
また、X1のディフェンスにも注目してみましょう。
もし上図のように1が飛び込み、そこに綺麗にパスが通れば、シュートのチャンスにつながる可能性もありました。
ボールを持つ選手とボールを持たない選手の即座の連動した発想により、様々なチャンスが拡がる可能性を感じられるプレーといえるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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