マークマンを見失ったディフェンスに対して生まれるオフェンスチャンス~FIBA-OQT決勝「チェコ対ギリシャ」より11~
引き続き、近年のチェコ代表男子チームの戦いを考察していきます。
前回記事の末部分にて、ディフェンスが目線を切ってしまったにも関わらず、存在を認識されずに自由に浮遊しているオフェンスプレイヤーがいることを取り上げました。
今回の事例は、まさにそれを象徴するプレーです。
『3人目、4人目以降のディフェンスのタスクを複雑化』させた結果に、発生したオフェンスのチャンスを紹介してみます。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
図のように、1-4の形でスタートします。
ダウンスクリーンからトップの位置でのピック&ロールに移行します。
リジェクトを狙った上での攻防およびアンダーに対してのリピック等の駆け引きが存在します。(詳細は割愛します)
いざ、アタックの際にX3の目線がボールマンに向きます。
その瞬間に、3がゴール方向に走ることでX4が反応をします。
その後、4とX4との短い距離でのクローズアウトが発生しました。
このパスだけでは決定打になりません。
しかし、X3はマークをする人を見失っていて、パスが出された4の選手に反応します。
その後、コーナーの選手がトップ方向に移動。そこにパスが届きます。
元々のマークマンであるX1が反応します。が、コーナーに3番の選手がノーマークとなっています。
X3が序盤で3を見失い、ディフェンスとして機能していないことの影響が、目線を切った数秒後の未来で発生しました。
3、まとめ
本プレーの場面で、3番の選手がその場にステイする可能性も往々にしてあると思います。
ゴール下へロールする5へのパスコースだけを考えた場合には、空間的に余裕があります。
しかし、このように刻一刻と変更する局面の中で、一定の原理原則に沿って動くことで非常に守りにくいオフェンスになり、ディフェンスにとってはスカウティングが難しく、脅威になるのではないでしょうか。
もちろん、ボールを保持する選手および3の動きに対してスペーシングを変える1が優れた判断をしていることも本プレーが成功した要因です。
カッティングに対し、ボールを保持する選手のパスに関する判断基準の整理が必要です。
また、自分がいた場所に味方の選手が向かってきた際の判断材料を整理するアプローチも必要になるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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