【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより21『ニュージランド代表のアーリーオフェンス6』
「ディフェンスの対応を見極め、適切なプレーを選択する遂行能力が重要」
本稿でも、前回までの記事と同様にニュージーランド代表チームを題材とします。
対象とする試合は、111対81で勝利をした日本代表とのゲームです。
前回は、チームの共通理解の中で実行しているアーリーオフェンスを遂行する中、自分の強みを見逃さない抜け目のない判断力によって得点に繋がったシーンを紹介しました。
今回も、根幹となるテーマは同様で、戦術の遂行能力や臨機応変な判断力の高さの記事とする事を試みます。
1、プレーの構造
2、プレーの流れ
日本代表がシュートを決めた後、ニュージーランド代表のポイントガード#5 Shea Ili選手がボールを運びます。
ボールを運ぶ流れで、サイドの位置で
- #14 Rob Loe選手とのPick&Rollがスタートします。
- ここで、日本代表はSwitchで対応します。
- 安藤選手はスクリナーの下側を通り、インサイドのポストアップをマーク。
- ドリブラーには渡邊選手がマークをします。
サイズとパワーで優位な状況がローポストで誕生しました。
- #5 Shea Iliはポストにボールを供給します。
- 直ぐに、渡邊選手がダブルチームで守り、
- 目の前の危機に対応します。
それに対し、#14 Rob Loeも素早くボールを戻します。一瞬、#5 Shea Iliにノーマークの状況が出来上がりました。
しかしここで、ボールをキャッチする際にミスが発生しました。シュートチャンスや、シュートフェイクからのドライブインのチャンスを逸しました。
そこで#5 Shea Iliは素早く次の攻防を伺い、#42 Isaac Fotu選手とのピック&ロールへと移行します。
ここで安藤選手はスクリナーの下側を通過します。
先ほどのローポストでの攻防の流れもあり、安藤選手としても脚力をいつも以上に消耗している状況です。
ファジーカス選手も、先ほどのローポストでのミスマッチをケアする都合、自分のマークマンを少し離している状態でした。
ここで#5 Shea Ili選手は、自分自身でシュートを放つ事を選択し、見事に成功させました。
3、まとめ
重複になりますが、戦術を遂行する際に相手ディフェンスの対応を見抜き、的確なプレーを判断する事が非常に重要になります。
ここではまずSwitchをした為、ポストエリアでサイズとパワーの優位が誕生しました。まずここを狙った為、最初のチャンスが発生しました。
この優位な状況を狙う視点を持つ事が重要といえるでしょう。
次に、アンダーで守ってきたディフェンスへの対応です。
ここで、ドリブルからの3Pシュートというオプションを持っているからこそ、相手ディフェンスは別の方法で守る必要性が出てきます。
Nカリー選手、ドンチッチ選手、富樫勇樹選手らは、このようなプレーを非常に得意としています。
次に、ディフェンス側についてです。トランジションの中で細かなルールを設定する事は簡単なことではありません。
仮に、今回のようにローポストでミスマッチになった際には、サイズの無い選手がどのようにポストを守るかについては整理しておく事が得策といえるでしょう。
チームによっては、小さな選手がポストマンの前に立つ事を優先し、ベースラインからダブルチームに向かう戦法で守るべく、チームで共通理解を持っているチームもあります。
また、ダブルチームに向かうタイミングの整理も必要です。
基準としては、今回のように
- キャッチと同時にダブルチームをするのか、
- ドリブルのタイミングなのか、
- ターンなのか、
- エリアで判断をするのか
等々が挙げられるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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