【梅原トレーナーのからだづくり哲学】そんなマネージャーなら要らない(上)
あなたはマネージャーという存在について、どのような捉え方をしていますか。
チームにはマネージャーなる人がいます。個人種目であっても、学校の部活動にはマネージャーがいることが多いでしょう。
マネージャーとはなんぞや?
日本全国のチームをもう20年以上見てきて、選手やコーチだけじゃなくマネージャーともたくさん交流してきました。
色んな顔があります。場所により本当にその様子は異なります。
組織における本来のマネージャーと、日本的なマネージャー(とくに部活動の)はその存在が大きく変わります。
日本の部活動においては、それは大体が女性で、水を汲みに行ったりジャージを畳んだり、電子タイマーのボタンを押したり、シュートの本数をノートに記入したり、試合のスコアを書いたり、ビデオを撮ったり、先生から頼まれ事を受けたり、それがマネージャーの姿ですね。
これを一般的に言うと、身の回りのお世話をする人、そうお手伝いさんです。
マネージャーとはお手伝いさんなのでしょうか?
▼だったらお金を払おう
そう見ている人もいると思います。実際に現場では、みんなそのように接しています。
ちょっとした面倒事を、他人がやってくれると楽ですよね。そうしてもらうためにマネージャーがいるのですね?
だったらマネージャーにはお金を払わなきゃいけませんね。自分の世話をしてもらうのですから、それはフェアに対価が必要です。
でも賃金を貰っているマネージャーが、日本の部活動にいますか?
何も対価を出さずに、自分でするべき自分のことを人にやらせているのですか。
自分が飲むドリンク、自分が脱いだジャージ、自分が研究のために使う試合の映像、バッグや道具を並べて置くこと、モップ掛け、全部自分のことですね。
選手、コーチが自分ですれば良いことです。どうしてマネージャーがするのでしょうか。
自分のことを人に頼む感覚が僕には解りません。
▼躾のできているチームのマネージャーは暇
これは選手に釘を刺しているのではありません。マネージャーのあなたに問い掛けたいのです。
マネージャーとは、選手が自分の身の回りのことを面倒くさがっていて、だから代わりにお世話をしてあげるという役割としてチームに必要な存在なのでは、ないですよね?
それくらいなら練習しながらでも、なんの苦もなく選手自身で行えます。
だからそのような教育・躾が一程度されているチームでは、マネージャーの存在があまり必要とされていません。実際に、することがなくただ立って練習を見ているだけの姿もしばしば見かけます。
お世話を必要としない選手たちだと、悲しいかな、マネージャーは死んでしまいます。
あとはもう、デジタルタイマーのボタンを押すくらいしかなく、その1台に数名のマネージャーが群がっているのです。
順番にボタンを押すんでしょうか?それとも指を合わせて同時に?
自分で何でもする選手が多いほど、マネージャーはすることが無くなります。
▼トレーニングはとくに関わることが少ない
僕のトレーニングの時間には、マネージャーがとくに暇になります。
普段とは違う限定的な日ですから、当然そうなります。月に一度くらいの毎日の練習とは違う別枠になりますので、ルーティンからは外れます。だから対応できないのですね。
本当は力になってほしいところが山ほどありますが、こちらから頼まない限りは突っ立っているだけです。
日頃から監督に訓練を受けているチームでは、マネージャーはよく動いています。トレーニングの日でも、一緒に部活の時間を共有してくれます。
でもそれは稀です。極々ひとにぎり。
ほとんどの場合は、トレーニングの時間は何に関われば良いかを見つけられず、暇そうにコートの端に立っているだけ。
本人も暇することが本当は嫌なのかもしれませんが、用事を見つけられないので持て余している可能性も考えられます。
いずれにしても、何もしないならそこにいる意味はありません。
▼必要な存在になろう
先日、あるバスケットボール部で僕はマネージャーに話をしました。もちろん名前も地域も年齢も、一切教えられません。出来事だけをお伝えします。
たまたまでしたが、横にマネージャーが二人立っていたので、あるお願いをしました。
練習の最初に15秒/周ペースで10分ランニングをしていました。もしフラフラしているとかあまりにも苦しそうな様子があれば、声を掛けて休ませてほしいと、マネージャーに言いました。
季節的に気温や湿度の用心は要らないのですが、いまの日本の中高生はスタミナが本当にありません。それどころか呼吸がおかしくなり倒れそうになるケースもあるため、念のため監視が必要なのです。
2年生の主任マネージャーが一人、隣に1年生マネージャーが一人立っていました(もう一人1年生がいますが離れた位置にいました)。
仕事をお願いしましたが、二人はその場を動こうとしません。1年生マネージャーはノートをずっと抱きかかえたまま、先ほどと何も変わりません。
僕は「二人ともさっきのこと聴いてた?」と問いました。ちゃんとこちらを見て頷いていたのですから聴いていたのですが、あえて言いました。
本人たちは、体育館の端から選手の様子を見ていたのかもしれません。でもコートの真ん中で走っている選手に関わるということは、そういうことじゃありません。
一緒になって同じ空間を共有しなきゃ。
日本の部活マネージャーは大体こんな感じです。常にコートの外、体育館の端っこにいます。ずっとそこにいます。
これがチームをダメにしているのです。
(次号へつづく)
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