【梅原トレーナーのからだづくり哲学】練習時間について考えてみる(2)

スキルアップ チーム作り 梅原 淳

※お知らせ
こちらの記事は、新型コロナウイルス感染が広がる前の出来事を執筆した記事となります。

承前、練習時間の実質的に有効な時間についての続きである。

私はこれまで20年のコーチ経験で、とくにここ数年において内容と時間が大きく変化しているのを実感している。

僭越な物言いだが、少しずつ年を重ねるにつれて教え方や進め方が熟してきて、その結果、若い頃に気合いの象徴でもあった長い練習時間というものが、今やどんどん削られて短くなる一方である。

もちろん30分とか1時間という話ではないが、現実的に4時間とか常に2部練とか、そういった昔は当たり前だった長丁場の練習に、もはや価値を見出せなくなっている。

それは実際に実りがないからである。

今の選手は心身共に弱くなっているからだと言われる方もいるだろう。たしかに以前は長くとも続けられた。

ただ、その長時間の練習には耐えられたかもしれないが、その分でより強くなったということでもなかった。もし短くても戦績はたいして変わらなかったかもしれない。

選手たちは、唯々「長い」という辛さを我慢していただけのような気もする。熟考してみると、それくらい長く練習した成果というものはあまり覚えがない。

日本のトップはどうか

本当に有意義なのであれば何時間でも取り組めば良いと思う。

卓球女子の早田ひな選手は1日9時間もの練習をおこなっていると、先日TVで放送されていた。

TVのことだから、実際には動いていない合間などもすべてひっくるめての時間かもしれないが、もし本当に9時間だとしても、それが必要な時間であり成長に導けているのならば当然続けた方が良い。

私は全国の中高生バスケットボール選手と一緒に練習をしてきて、まだ道半ばのこれまでを総括すれば、體にも頭にも精神にも有効であるのは、季節問わず2時間半から3時間で目一杯である。

それ以上は、ずるずると意欲も集中も中身も薄れた惰性の練習になってしまう。

日本の一般的な練習環境

全国には公立と私立の学校がある。私立のほうが場所も時間も充分な用意があると、一般的にはそう見ている人が多い。

これは正しくない。たしかに例えば部活動に力を入れている学校もあり、体育館が広く、バスケットボール部が一週間いつでも使えて(専用コート)、平日も延長して21時頃まで練習できるというケースもある。

でもそれは数で言えばごく一部だろう。正確に全部を確認していないので、あくまで「だろう」という言い方になってしまうが、あなたの知る情報とも重ねてほしい。

練習環境の良い、いわゆる時間と場所が自由に使える環境はどれくらいあるだろうか。

実際の多くは、5,6つの部活動で体育館一つを時間で区切って回しているし、完全に使えない日もある。中学などは決められている下校時間も、当然高校より早い。

そもそも確保できる練習時間はそう多くないというのが、一般的な日本の学校の実際である。

時間に固執しているチーム

そうであったときに、考えてもらいたいことが二つある。

ひとつめは、平日の練習時間が短いので、週末にその不足分を補うようにして長い練習をするとか、午前午後での二部練習をする、練習試合に出かけていって延々丸一日行うといった方法を取っているケースがある。

普段の練習時間が1.5時間や2時間なのに、ある一日だけ突然長い時間の練習を果たして効果的におこなえるだろうか。選手は間違いなく耐えられない。

練習内容も効果的なものが用意されていることは少ないだろう。コーチもいつもは短い時間での組み立てをしているのだから、倍の時間を上手に配分することは難しいと思う。

安易に時間だけを欲しているのならば、もう少しよく考えたほうがいい。

時間が短くても強くなれる

ふたつめに、自分たちのおかれている環境において創意工夫をして、短い時間でも最大限の成長をつくろうと努力している選手やチームもいるということだ。

もし長時間にわたり練習をできる環境だったときに、彼らは同じような練習をしていただろうか。1.5時間の中身の濃さのまま3時間を行えるのであれば、ものすごい成果をあげられることは確実だ。

しかしそれは練習時間が少ないからこそ生まれてきた内容や集中力であって、条件が不利だったことがプラスになったと言える。

練習時間が多いと、コートを長々とは使うが中身は薄くなるケースが目立つ。練習量が多い割には成果が少なく、試合に弱いチームもしばしば見かける。

短い時間しか練習できない環境だと、大切にして工夫するから成果が大きい。制限されているチームのほうが結果を出していたりするものだ。

そうならば、練習時間は必ずしも多い方が有利とは言えない。私は少ない練習時間の中で、県大会の上位に食い込んでいくチームを幾度となく見てきた。

彼らは時間(量)から解放されて、内容(質)を突き詰めて自分を上達させている。彼らにとってはこのままが最善だと考えられる。

時間は必然で決まる

最終的に練習時間が早田ひな選手のように9時間でも、以前の私のように4時間でも、いまの2時間程度でも、現在考えられる最も良い内容による全力の取り組みを行うことが唯一つ、物事の上達や進展に必要なことであろう。

それを考えること、そう行動することが重要なのであって、結果的に必要充分な時間というものが生まれていくのだ。

内容的にキリの良い終わりもあれば、体力的に限界がくる場合もある。いずれにしても日々、最善の内容を模索することが選手・コーチともに必要な学びだと考える。

多くは単なる不安で長くしたり、少ないよりも多いほうが良いだろうという安易な発想なので、没頭して気づけば長くなっていた、という意外は、長時間の練習に意義はないと断言できる。

2時間しかもたない練習が、少しずつタフになって10分20分と自然に伸びていくことを今後の期待としたい。

(了)

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