【梅原トレーナーのからだづくり哲学】ある進学校の自立への歩み その5

スキルアップ チーム作り トレーニング メンタル(心) 指導法 梅原 淳 育成法

体力トレーニングとは単なる筋肉の追い込みではなく、新たな運動感覚、運動技能を身に携えて、そこからパフォーマンスを発達させることに真の目的がある

少なからず私の行うトレーニングとはそうである。

わけもわからずただキツいこと辛いことをし、息を切らし、筋肉痛になり、見た目の筋肉のメリハリをつけるだけなら、ひたすら量的に負荷を強めていくだけで良いだろう。

中身など無くても良い。肉体的に追い込めばそれでいい。

しかしスポーツでの競技成績を伸ばそうとすれば、技術を高める必要がある。

それは例えば、バスケットボールならどうやって得点を取るかどうやって相手に得点を取らせないかの戦略・戦術的技術が一つにあり、もうひとつにそれを実行する自らの肉体的能力つまり高度な運動を行うという意味での技術力がある。

▼體の感覚は自分にしか解らない

自分の手足を使って複雑な難しい動きを行えたり、ビッグ・パフォーマンスを発揮できたりすることを求めているのがスポーツそのものである。それを競い合い、誰の肉体的能力が一番高いかを決することを私たちはしている。

そのスポーツの根幹を目の前に置いたとき、自ずと體と向き合うことになり、運動的な技もしくは術(ワザ)を探究する毎日が始まるだろう。

自分の體がどのようにしたら動くのかはその本人にしか解らない。上手な人をお手本とし模倣するにしても、見た目を真似るまでは可能だが、実際にそれをするために自分の筋肉・骨・関節等をどのような感覚で操作すれば同じようにいくのかは、完全に各々独自のものだから自分で見つけるしかない。

ぴったり同じ動きであっても、それをする操作の感覚は人それぞれに異なる。だから人からの「こんな感じで〜」というアドバイスはあくまでその人の感覚として参考にはできても、主体は自分でゼロから作り上げなくてはいけないのだ。

私がいつも自分の頭で考えようと言っているのは、ここに一つの理由がある。

▼体力トレーニングと人生

考えないトレーニング、感じないトレーニングは実らない自分で練習を行えない者とはつまり、自分で物事を良くしていくことができない者ということだ。

それはバスケットボールだけトレーニングだけそうであるはずがなく、人生全てに通じている。自分の未来は自分でつくっていくのだから、その力がないとなればこれからの長い人生をどう明るくしていけるというのか。

だから絶対にこれはやらなくてはいけないことなのだ。この問題をスルーして何も得ない部活動にしてしまうことは彼らにとってあまりにも不幸であるし、私も不本意である。

トレーニングから人生を学べるなどとは微塵も思っていない。しかし僭越だが、少し重ね合わせるくらいはできるのではないかと思う。自分で自分の体力を磨き育てていけるようになれば、きっとひとり立ちしてからの人生本番で見えない力として支えてくれるだろう。

そのためにこそ、私の受け持つ体力トレーニングの時間がある。

▼目的に即した取り組み

さあそれでは考えるトレーニングをしていけるようになろうと、私も選手も意識を皆で同じ方角へ向けた。

それは「今自分がおこなっている事の目的を正しく持つ」ということであった。本来の目的と自分がしている行動がマッチしているか、即した内容になっているかを常に検証して逸れないようにすることを意識しようというものだ。

デタラメなことをいかに頑張っていても先へは進めない。自分は今何を得るためにそれをしているのかを、常に考える必要があるだろう。何を掴もうとしているのか、何を学ぼうとしているのか、それは行動の原資と言える。

行う理由・目的を正しく捉えよう。

そこに気を向けておけば、自分で自分の有り様が見えて修正できるはずだから、正しい取り組みを行える。日々において「自分がそれをする目的」というものを忘れないようにすることが肝心だ。

▼なぜか人は逸れていく

そうなればもう間違いは起きないと思うのだが、大概はいつの間にか目的を外れていく。そもそも何のためにという物事を行う根っこが飛んでしまって、やっていること自体が目的化してしまう。

頭で理解することと、それを心掛けることは分けなくてはいけない。口で言うだけと実際に行動することは大きく違うように、意識しているようでいて実は最初だけで、そのうち本質が逸れて結果的に何にもなっていないということは大いにあり得る。

関節の可動域を広げるためのトレーニングを教えたとして、それをする目的である「関節柔軟性を向上させる」が根っこにきちんとある人は伸びるが、大抵は目的を大事にせずトレーニング方法や練習方法そのものに気を取られている。だから中身が悪くなり、結果その方法自体も間違う。

私はよく「そもそもこの練習は何を掴むためにやってるんだっけ?」と選手らに聞く。

この質問をするとほとんどの人は答えられない。ここに登場している県内指折りの進学校の生徒ともなれば「股関節をこうしてああして・・・」と、私が説明したときの話を懸命に記憶から引っ張り出してそれっぽい事を言うが、取り繕っているだけだから言わんとするところが解らない。

やはり逸れている。本来の目的が失われていて、ただ練習メニューがあるのみだ。

▼優等生的な回答をやめる

質問に答える際、本当はよく理解していないのに、それらしい物言いで解っているように見せようとする人がいる。私も経験がある。無理矢理引っ張り出した回答というような小難しくて回りクドい言い方を、選手たちはする。よくする。

一つには頭の中できちんと整理されていない、物事がシンプルになっていないことがあると思う。もう一つには、自分なりの考えと言葉を持たず、何を言えば正解かと模範解答を探ろうとする習慣を懸念している。

この人の持っている答えは何なのか、なんと言えば正解となるのか、私の目の奥を見ようとしている子は多い。さも具体的に解っているように答えるのだが、何を言いたいのか余計にぼやけてしまっていることが多い。

本音はよく解っていないのであり、そのうろ覚えと不勉強をまず改めなくてはいけない。私の説明を浅く聞いているし、取り組みの際にも思考と感覚を巡らせていない証拠だ。

難しいことはなく、結局物事をフワッと安易にやっているだけのことである。

しかしその原因として、日本の模範解答的な勉強のさせ方が大きく影響しているとすれば、そこは重大な病巣であるかもしれない。

▼模範解答を禁止

このチームでは、トレーニングの時間は模範解答を禁止にした。回りくどいときは「本当にそう思ってる?本当に頭の中でまとまってる?」などとその場で聞き返すことにしている。

私の話よりも子供らの言葉や行動こそ重要だ。

正解が欲しいのではなく、自分で考え動く自助力を生みたい。日本的な教える側が一方的に話したり物事を進めたりするスタイルをやめて、選手を物事の実行者として土俵にあげたいと思っている。

コートの中心に自らが立っているという意識を持つことが必要であり、全体の練習に自分も紛れているとか輪に加わっているなどという感覚は捨てなくてはいけない。

▼身にまとった衣を脱げるか

当事者意識を持とうと、常日頃より選手たちには話している。

これも根気が必要だ。はじめはいくら言おうが逃げて、逃げて、誤魔化して、誤魔化して、フッと全体に薄れようとする。

そこから責任回避の性格や物事をおざなりにする行為、ミスや怠けを取り繕うような“不誠実”が増長されていく。

自分で考えることを放棄し、なんとなく全体に同調して場をくぐり抜けようとするからこそ、模範解答を持っている必要がある。

それを禁止したときに彼らは素っ裸となり、その状況に置かれてはじめて本当の自分の感性と向き合えるのだ。

自らに衣を着せたままで本当に良いのか?自分の言動には中身があるのか?盾となっていた模範解答が無くなったからこそ、そんな葛藤が生まれたりもする。体裁人間・マニュアル人間を脱するチャンス到来だ。

いよいよここからは自分の真の言葉が求められる。

果たしてできるか。

(次号へ続く)

 

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