スペインピック&ロールを巡る攻防8~日本vsオーストラリア戦より~

オフェンス スキルアップ 戦術 片岡 秀一

引き続き、女子日本代表のスペインピック&ロールの攻防を取り上げます。
今回で本テーマは終了することを予定しています。

日本女子代表チームは、バスケットの局面を下記の5項目で分類しているようです。

  1. オフェンスに入る→キャスティング
  2. チャンスを作る→クリエイト
  3. チャンスができた→チャンス
  4. アタックする→ブレイク
  5. シュートをする→フィニッシュ

今回は、「1.オフェンスに入る(キャスティング)」と「2.チャンスを作る(クリエイト)」の場面の攻防と「4.アタックする(ブレイク)」と「5.シュートをする(フィニッシュ)」の場面となります。

1.プレーの構図

スペインピック&ロールの攻防8-1

2.プレーの流れ

PGである1番・宮崎早織選手よりインサイドの5番・ 馬瓜ステファニー選手にパスが出されます。
その後、4番・中田珠未選手が宮崎選手にバックスクリーンをセットします。
宮崎選手はリング下を通過し、パスをしたサイドのコーナー付近へと向かいます。

パスを受けた馬瓜選手に対し、2番・赤穂ひまわり選手がスクリーンを仕掛けます。
この場面でX2が進行方向を防ぐ形で守り、スクリーンをセットさせません。
スクリーンを断念し、反対サイドへと駆け抜けていきます。

スクリーンは成功しませんでしたが、5番・馬瓜選手に対し、1番・宮崎選手がボールを受けるべく動きます。
この時、X1はスクリーンを予測してスライドで対応し、宮崎選手の進行方向に追いつこうとします。

続いて、4番・中田選手のスクリーンが待ち構えています。
また、この時、3番・林選手が後方から中田選手へスクリーンを仕掛けています。
スペインピック&ロールの形が出来上がりました。

ここでは、X1はファイトオーバーを試みますが、中田選手のスクリーンにHitしてしまいます。
宮崎選手がリングへと進行するのに対し、X5がスイッチで対応します。
林選手はスクリーンの後、X5の動きやディフェンスのアングルを見越し、ポップアウトへと移動します。

その結果、リング方向とトップ方向の両方にオフェンスが位置しました。
X1とX3は、ここで役割を分担することが必要です。
さもないと、4番・中田選手か3番・林選手がノーマークになってしまいます。

今回は、X1・X3ともに林選手をマークしようとし、4番・中田選手をノーマークにしてしまいました。
その結果、X5が4のDiveをケアできるポジションとビジョンに変更せざるを得ませんでした。
映像で見るとわかりやすいですが、コーナー方向にパスコースが発生しました。

最終的には、X4が下がっていることを見抜き、宮崎選手がジャンプシュートを放ちます。この時、5へのパスコースも見えていたはずです。
仮に、X4がもう少し前に出てチェックをしていた場合は、自らのシュートではなくコーナー方向へのパスを選択したでしょう。

3.まとめ

前任のトムHC時代より、女子代表は全ポジションの選手がシュートレンジを拡げ、3Pシュートを打てるようになっています。

5番ポジションで出場している馬瓜ステファニー選手も、ノーマークにしてしまうと相手チームにとって脅威になります。

また、シュートを打てるだけではなく、相手チームのクローズアウトが早ければ、ドライブインを選択する能力も多くの選手が備えています。

シュート能力に加え、高い状況判断能力があることが、日本代表女子チームの強さの要因の一つといえるでしょう。

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この記事を書いた人:片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)