スペインピック&ロールを巡る攻防4~女子アジアカップ日本vsオーストラリア戦より~

オフェンス スキルアップ 戦術 片岡 秀一

女子アジアカップ準決勝、日本対オーストラリア戦を題材として4記事目となります。引き続き、スペインピック&ロールの攻防を取り上げます。

オーストラリア代表は、どのように守ろうとしたのか。
そして、女子日本代表はどのように攻めたのか。
攻防の深淵の一部を紹介できるように試みたいと思います。

今回は、スペインピック&ロールを巡る攻防1~女子アジアカップ日本vsオーストラリア戦より~で紹介したプレーと類似したプレーです。

ですが日本代表チームは、異なる入り方、異なる活用方法でスペインピック&ロールを遂行しました。

2Q残り7分

1.プレーの構図

2.プレーの流れ

ポイントガード#23山本麻衣選手より、インサイド#3馬瓜ステファニー選手にパスが出されます。
その後、図4の#33中田珠未選手が#23山本選手にバックスクリーンをセットします。#23山本選手はリング下を通過し、パスをしたサイドのコーナー付近へと向かいます。

パスを受けたインサイドの選手に対し、ウィング#20東藤なな子選手がスクリーンを仕掛けます。
その後、反対サイドに駆け抜けていきます。

スクリーンをもらったインサイドの選手に対し、最初にパスをした#23山本選手がボールを受け取りに行きます。
再び#33中田選手が、#23山本選手に対してスクリーンをセットすべく配置します。
パスをしたインサイドの選手はコーナーへと向かいます。

ここでコーナーより、#27林選手がスルスルとボールスクリーンの後方へと向かっていきます。
本稿でお馴染みのスペインピック&ロールの形です。
ここに至るまでに、オフボールスクリーン、オンボールスクリーンと数多くの動きがありました。

オーストラリア代表は、X4がスイッチをする形で対応します。
4がゴール下に進行することに対しては、X1の選手が身体を張って防いでいます。
その後#27林選手については、元々のマークマンであるX3が守る算段だったのかもしれません。
しかしここで、4がX3に対してもダウンスクリーンのようなアングルで進行します。
一連の動きに対応できず、X3は出遅れてしまいます。
女子バスケット界でも国際的に注目を集める林選手をノーマークにする形になりました。

3.まとめ

本プレーは、タイムアウト明けの攻撃です。
真相については分かりませんが、オーストラリア代表のディフェンス戦術を見抜き、#33中田選手が#27林選手にダウンスクリーンをセットする形を指示があったのかもしれません。

ここでダウンスクリーンが用意されると予測が出来ていれば、スイッチやスクリーンをかいくぐる角度と足の運びを用意できたかもしれません。
しかし、予期せぬプレーだったのでしょう。
ダウンスクリーンを交わせず、スイッチすることもできずにノーマークになってしまいました。
ディフェンス側の対応を見抜き、素晴らしい修正案となったプレーといえるでしょう。

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この記事を書いた人:片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)